NTTドコモがAI前提の業務変革 6割以上のチームが開発の高速化

NTTドコモ 第一・第二プロダクトデザイン部 シニアプリンシパルアーキテクトの三井力氏
NTTドコモ 第一・第二プロダクトデザイン部 シニアプリンシパルアーキテクトの三井力氏は、生成AIを業務や開発プロセスに組み込む同社の取り組みについて紹介した。
三井氏によれば、NTTドコモは2025年4月から生成AIの本格活用に舵を切り、コミュニティ形成や社員教育、利用環境の整備を推進。2025年8月から半年間実施した社内の生成AIコンテストでは252件のアイデアが集まり、そのうち142件が実用化されており、「昨年度中に約2.5億円の効果が生まれ、今年度は10.8億円規模の成果が見込まれている」という。
こうした取り組みは、実際の業務や組織運営にも広がっている。例えば、統括長やスペシャリストの人格を持たせた「マルチ部長エージェント」は、社員からの相談に週389件対応していると三井氏は説明。資料レビューや打ち合わせ前の壁打ち、設計レビュー、キャリア相談などに活用されており、「事前にAIと論点を整理してから会議に臨むようになった結果、会議の生産性向上につながっている」とその効果を語った。

NTTドコモが取り組むマルチ部長エージェントなどの取り組み例
AI活用の広がりは、開発プロセスそのものの見直しにもつながった。三井氏によれば、NTTドコモでは2026年3月から、設計からコーディング、テストまで開発工程全体にAIを活用する「AI駆動開発」への移行を宣言した。その成果として、「6割以上のチームが3倍以上の開発スピードを実現し、残るほとんどのチームでも40%以上の効率化を達成している」と紹介した。
一方で、開発スピードの急激な向上に伴い、「品質やセキュリティは大丈夫か、AIが迷走しないか」といった新たな課題も出てきていると三井氏。こうした課題に対応するため、同社は「ハーネスエンジニアリング」に取り組んでいるという。これは、AIエージェントに作業を任せながら、ルールや制御によって意図しない動作を防ぐための考え方のこと。
具体的には、AIの行動指針を定めたルールファイルの整備に加え、テストに合格するまでAIが自律的に修正を繰り返すフィードバックループを構築するなど、安全性と品質を担保しているという。さらにAIOpsの分野でも、障害分析から復旧手順の提示までをAIが自動で実施する仕組みを導入し、運用業務の効率化を進めていると紹介した。










