福岡大学の実証事例が示すプロテクティブDNSの有効性

福岡大学 情報基盤センター 准教授の藤村丞氏
福岡大学 情報基盤センター 准教授の藤村丞氏は、同大学におけるDNSセキュリティの取り組みについて話した。
福岡大学では2020年9月にプロテクティブDNSを導入して以降、DNSを起点とした防御を段階的に構築してきたというが、「プロテクティブDNSの効果を維持するには、この仕組みを迂回されないようにすることも重要だ」と藤村氏。

福岡大学におけるプロテクティブDNS導入の有効性
通常、学内ネットワークに接続されたパソコンやスマートフォンは、外部のWebサイトにアクセスする際、大学が用意したDNSサーバーにドメイン名のIPアドレスを問い合わせる。しかし、DNSの問い合わせを暗号化する技術「DoH(DNS over HTTPS)」を使うと、外部のDNSサーバーを問い合わせ先に指定できてしまう。そのため、大学のプロテクティブDNSを経由しない通信が発生し、危険なドメインかどうかのチェックをすり抜けられる恐れがあるという。
そこで同大学は、外部のDoHサーバーへの問い合わせ自体をブロックする対策を行うとともに、DNS通信に使われる53番・853番ポートを学外向けに閉じる「OP53B/OP853B」を導入。学内のあらゆるDNS通信が、大学が自ら管理するプロテクティブDNSだけを経由するようにした。
こうした対策の効果は、実際の運用データにも表れている。藤村氏によれば、プロテクティブDNSを迂回しようとするDoH関連のブロック件数が2025年以降急増しており、全体のブロック件数の大半を占めるようになったという。
「DoHを使った迂回が多く試みられている以上、その対策は避けて通れない課題だ」と藤村氏は語った。
DNSの知見を生かし、EASM機能を追加

Infoblox Japan カントリーマネージャーの土橋一範氏
Infoblox Japan カントリーマネージャーの土橋一範氏は、AIとDNSの情報を組み合わせることで、攻撃に悪用される前のドメインやサーバーを早期に特定し、被害を未然に防ぐことが重要だと説明した。
企業自身も存在を把握していない古いWebサイトやサーバーなどが攻撃の標的になるケースが増えており、「攻撃者は企業が把握していない資産まで含めて外部から見ている。防御側にも攻撃者と同じ視点で自社の弱点を把握し、被害が出る前に対応できる体制が必要だ」。
こうした課題に対応するため、土橋氏は同社のセキュリティプラットフォーム「Infoblox Exposure Management」に、EASM(External Attack Surface Management:外部攻撃対象領域管理)機能を追加すると述べた。EASMは、インターネット上から見える自社のIT資産を継続的に把握し、攻撃者に悪用される恐れのある資産や設定不備を洗い出す仕組みのこと。
土橋氏によれば、他社製品の場合、利用されなくなったドメイン設定の残存、なりすましメール対策の設定不備といったDNS関連のリスクを十分に検知できないことが多い。これに対して、InfobloxのEASMは、長年培ってきたDNSの知見を生かし、こうした見落とされがちなリスクまで継続的に把握できるとした。













