企業ネットワーク最前線

WiMAX連携で攻勢に出るKDDI――auネットワークをデュアルサービスで強化

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2010.12.01

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WiMAXとCDMA2000の両方に対応した
デュアルモードデータ通信端末「DATA01」

KDDIが今年6月に開始したWiMAX/CDMA2000デュアルサービスは、NTTドコモのLTEへの対抗馬となるもの。デュアルサービス対応のスマートフォンが導入される可能性もでてきた。

「WiMAX/CDMA2000デュアルモードデータ端末」が注目を集めている。この端末は、UQコミュニケーションズのWiMAXとKDDIのCDMA2000という2つのネットワークに対応、電波の状態に応じて自動的に切り替え、シームレスに利用できるものだ。

ラインナップは定額制料金に対応する「DATA01」(USBタイプ)と「DATA02」(Express Cardタイプ)、従量制料金対応の「DATA03」(USBタイプ)と「DATA04」(Express Cardタイプ)の計4機種(すべて日立製作所製)。

これにより、KDDIは、下り最大40Mbpsの高速データ通信が可能だがサービスエリアが限られているWiMAXを、全国をくまなくカバーするCDMA2000で補完する新たなサービスを実現したのだ。

WiMAXを3Gに取り込む

このWiMAXとCDMA2000とのデュアルサービスは、KDDIがUQコムからMVNOとして回線を借り受け、自らのサービスと組み合わせて提供しているもので、ユーザーはKDDIと契約するだけで利用できる。

特筆されるのが、単にアカウントを統合しただけではなく、機能面でも2つのネットワークを一体化し、KDDIの既存のPC向けデータ通信サービスと同様の料金プランやサービス機能を提供していることだ。KDDIはWiMAXを「部品」として自らの3Gサービスに取り込み、自社のインフラを使う場合と比べて遜色のないサービスを実現しているといえる。

これを可能にした要因の1つが、冒頭で述べた端末の自動切り替え機能だ。具体的には、WiMAXが良好に使えるところではWiMAXに接続され、WiMAXの電波が届き難い場所に移動すると自動的にCDMA2000に切り替わるという仕組み。またCDMA2000で通信している時でもWiMAXが良好に使えるようになるとWiMAXに受け渡される。双方向のハンドオーバーが実現されているのだ(図表)。

 

図表 DATA01シリーズの接続イメージ
図表 DATA01シリーズの接続イメージ


切り替え時には10秒程のタイムラグが生じるが、データ通信では特に問題にならない。

DATAシリーズの開発を担当したKDDIソリューション商品企画本部のモバイル商品企画部グループリーダーの渡邉真太郎氏は「日本では当然初めて、世界でもあまり例のない機能で開発のハードルはかなり高かった」と話す。実はDATAシリーズの発売は、当初昨年末が予定されていた。これが半年遅れた大きな理由は、ハンドオーバーの最適化に時間がかかったことにあるという。

 

KDDI ソリューション商品企画本部 モバイル商品企画部 商品企画2グループ グループリーダー 渡邉真太郎氏
KDDI ソリューション商品企画本部 モバイル商品企画部 商品企画2グループ グループリーダー 渡邉真太郎氏


なお、法人向けには、社内システムの要件に対応するために手動で回線を切り替える設定の端末も提供されている。

もう1つのファクターは、このサービスの提供に際してKDDIが、UQコムのネットワークと自社の設備を制御回線で結ぶ「パターン5」と呼ばれる回線調達形態をとっていることで、CDMA2000と同じシステムで認証や課金、IPアドレスの振り出しなどを行えるようにしているのだ。これによりKDDIは認証などをUQコムの設備に委ねる他のMVNOに比べ、サービス展開の自由度を格段に広げたのだ。

これが特に効果を発揮しているのが法人ソリューションの分野である。例えば、CDMA2000とWiMAXの間で回線が切り替わってもセッションが維持され、IPアドレスも変わらないので、作業をそのまま継続することができる。すでにCDMA2000を使ってシステムを構築している企業は、社内システムを変更せずに回線をデュアルサービスに更新することが可能だ。CDMA2000と同じ課金システムを使うことで、法人ユーザーに利用されているパケット課金による従量制料金プランをWiMAXとのデュアルサービスでも提供することが可能となっている。

KDDIは同社のPC向けデータ通信サービスの中心となっている法人ユーザーをデュアルサービスで巻き取れる環境を整えているのである。

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