企業ネットワーク最前線

なぜ「Asterisk」に再び脚光?――「日本」対応で普及加速するオープンソースIP-PBXソフト

文◎藤田 健(編集部) 2011.08.01

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

Asteriskとの接続をサポートする
ナカヨ通信機のSIP電話機

オープンソースのIP-PBX「Asterisk」に再び注目が集まっている。対応するIP電話サービスの登場や、使い勝手の向上が図られるなどしたためだ。なかでもCTIでのコストメリットは顕著だ。


国内で「Asterisk」(アスタリスク)が再注目されている。Asteriskは、米Digium社が開発したオープンソースのソフトウェアIP-PBX。従来高価なPBXでしかできなかった企業向けの構内電話交換機能を、安価な汎用PCサーバーで実現できる。2004年9月に正式版がリリースされた。

当初は大きな話題となり、AsteriskベースのSIPサーバーを開発するメーカーも続々と登場。企業向け電話市場に変革をもたらすと期待する向きもあったが既存のPBX/ビジネスホンの使い勝手の良さなどを重視するユーザーが多かったことなどから、次第に勢いを失っていった。2008年の暮れには、市の職員が独学でAsteriskベースの内線網を格安で構築した秋田県大館市のケースが話題になったが、普及を後押しするまでのインパクトはなかった。

では、なぜ今、再びAsteriskが脚光を浴びているというのか。その理由を解説する前に、まずはAsteriskの基本を整理しておこう。

Asteriskのメリット・デメリット

Asteriskの最大の特徴は、オープンソースのため、メーカーのPBX/ビジネスホンよりも安価でシステム構築できる点だ。また、オープンソースゆえにカスタマイズも容易であり、IVRやCRM、CTI等との連携などを低コストで独自に作り込むことができる。

その反面、デメリットも多い。以下に主な点を挙げる。

(1)数百あるPBXの機能のすべてを利用できるわけではない

(2)電話機操作等の使い勝手が悪い
例えば、パーク保留を利用する際にラインキーのランプ表示に対応していないなど、これまで日本の企業が慣れ親しんだ使い勝手の良さを犠牲にしなければならない。

(3)メーカーサポートがない
ユーザー自らがAsteriskを導入する場合には、当然ながらメーカーサポートがない。また、Asteriskを採用したメーカー品を使うケースなどでも、通常のハードウェアPBXほど手厚いサポートを受けられない可能性がある。

(4)日本では通信キャリアが未対応
通信キャリアの電話サービスを利用するには、ゲートウェイ(GW)が必要となる。GWは高価なため、いくらAsteriskでPBX部分は安価にできても、トータルコストは大きく下がらないケースがあった。

 

フュージョンの正式対応で高価なGWが不要に

最近Asteriskに普及の兆しが見えてきたのは、これらのデメリットが少しずつ改善されてきたからに他ならない。

キャリアの対応については、2010年4月21日にフュージョン・コミュニケーションズが、日本のキャリアでは初めてAsteriskに正式対応。AsteriskベースのIP-PBXでも同社のIP電話サービス「FUSION IP-Phone」を利用できるようにした。これにより、外線にFUSION IP-Phoneを利用した場合は、GWの導入費用が不要となった。

フュージョンの対応を受けて、AsteriskベースのIP-PBXも増えてきている。シーボーンの「Re-Vox」(リボックス)は、手のひらサイズの超小型IP-PBX。複雑なPBXの設定をネットワーク経由で約2時間で行える点を特徴としている。iSERVEの「Arnex mini100F」は弁当箱サイズの小型PBXで、業界最安水準の3万4800円がセールスポイントだ。単体販売だけでなく、FUSION IP-Phoneとブラザー工業の多機能ルーターを組み合わせたSMB向けIP電話ソリューションも提案している。

このほか、以前からAsteriskベースの「trixboxPro」を扱うコミュニケーションビジネスアヴェニューもFUSION IP-Phoneとの連携を実現した。trixboxProは米Fonality社が開発した製品で、同社が国内総代理店契約を締結。世界97カ国、6000社以上で導入されているという。

スペシャルトピックスPR

nec1711
hpearuba1711
watchguard1711

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】つながるクルマが「移動」を変える
     モビリティIoT革命


◆[インタビュー]シスコ鈴木専務「IoTの幻滅期をいち早く経験したシスコは他社の1年先を行く」 ◆920MHz帯“大混雑時代”の対応策に ◆LPWAで地域活性化に挑む藤枝市 ◆handyがホテルの客室電話を変える ◆ネットワークセキュリティの新常識 ◆IoTルーター/ゲートウェイの最新トレンド

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
日本IBM

スペシャルトピックス

サクサ中小企業も容易にセキュリティ対策

サクサのUTM「SS5000」は、コンパクトながら充実機能。外部だけでなく内部の脅威にも対応できる。

Office 365ADCでOffice 365通信の課題解決!

Office 365通信の課題であるプロキシ/FWの負荷増大と運用の複雑化を一気に解決するのがADCだ。

ウォッチガード・テクノロジー・ジャパンネットワークとPCを同時に守る!

ウォッチガードはNW防御にエンドポイントでのセンサー技術を組み合わせ、包括的で効果的な対策を実現!

サイバーリーズンAIで攻撃の兆候をリアルタイム検知
既知だけでなく未知の脅威も防御

AIを活用した独自分析技術で、悪意ある振る舞いを検知するEDR製品。

パロアルトネットワークスGTP-C/GTP-Uのセキュリティ強化
次世代FWをモバイル網に適用

携帯電話事業者のネットワークは次世代ファイアウォールが守る。

NECマグナスコミュニケーションズPHS/ISDNからLTEへ簡単移行!

「マルチキャリアで冗長化したい」「シリアルI/Fなど既存環境に手を加えたくない」といった声に応える。

アットマークテクノ柔軟な拡張性・出荷実績30万台の
安心感の日本製IoTゲートウェイ

ASEAN中心に認証を取得で、IoTシステムの海外展開にも便利だ。

Office 365導入を成功に導くため NWを見直すべき10のポイントOffice 365導入を成功に導くため NWを見直すべき10のポイントOffice 365導入を成功に導くため
NWを見直すべき10のポイント

実際の失敗例をもとに、ネットワークの見直しのポイントを整理する。

無線LAN APだけで電子証明書も運用可能に 運用管理を容易化する工夫も満載!無線LAN APだけで 電子証明書も!

ヤマハのAPは内蔵コントローラ で複数のAPを統合管理できる。セキュリティ機能も充実だ。

Wi-Fiの見えない脅威を可視化・防御 ワイヤレスIPSをお求めやすい価格で!「見えない脅威」にさらされている
無線LANをどう守る?

Wi-Fiの見えない脅威を可視化・防御するワイヤレスIPSを手頃な価格で!

オンプレミス型のPBX/ビジネスフォンは“時代遅れ”では決してない。

機械学習/AIを使った自律運用型ネットワークをArubaは提案する。

ウォッチガードなら「導入運用の容易性」と「強固なセキュリティ」を兼ね備えたWi-Fi環境が手に入る。

パブリッククラウドの普及で、設計・構築・運用法が大きく変わった!

待望の後継機が遂に登場!電話番号の最大登録数は2倍に向上。

ソフトバンクのMDMは、管理者の運用負荷を軽減しながらセキュアな利用を可能にする。

働き方改革はICTツールの導入・活用から取り組むのが有効だ。

大量のアラートをさばくのに忙殺される、旧態依然の運用と決別しよう。

NECのソリューションなら、多様なモバイルワークをセキュアに実現!

「WhatsUp Goldならコスト半減も可能」。イプスイッチの関口氏はこう自信を見せる。

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション201712
wj2018
compass
packet

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2017 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます