100万円から始めるMVNO――KCCSが参入ハードルを大幅に下げる支援サービス

「MVNOには大いに関心があるが、初期コストなどのハードルが高く、あきらめていた」。そんな企業にとって、KCCSが2010年6月から提供開始するMVNO支援サービスは朗報になるかもしれない。

個人事業主でも参入可能!?

MVNOを支援する事業者のことはMVNE(Mobile Virtual Network Enabler)と呼ばれ、すでに日本にも数社ある。では、後発であるKCCSの特色は何か。KCCSの森氏は「インフラから運用まで、フルメニューでお手伝いする点が特徴の第一。単なる回線の卸売りだったり、システムをインテグレーションしたら終わりではない」と説明する。MVNO事業を始めるには多くの機能が要るが、KCCSが提供するのは図表1に示した範囲だ。回線はもちろんのこと、ユーザーの申込受付から開通作業までを行う運営支援システム、請求・課金やコールセンターの代行などまで、MVNOの立ち上げや運営に必要な機能をワンストップで提供する。自身がMVNOであり、また各種アウトソーシングサービスを提供するKCCSだからこその提供範囲の広さといえるだろう。

だが、このような至れり尽くせりのサービスも、値段が高くては意味がない。気になるのはコストだが、森氏は「雑費・交際費レベルの非常に安い初期コストでスタートできる。ミニマムで30万円ぐらい。標準的な場合でも、初期コストは100万円前後に抑える考え」と安さも強調する。また、加入者数の規模についても、「小さいからといってお断りすることはない。1000加入、5000加入というスケールではなく、100加入、50加入でも結構」とのことだ。さらにリードタイムも短く、最短1カ月でMVNOを始められるという。「個人事業主の方でもMVNOに参入できる」と森氏は話すが、確かに驚きの参入ハードルの低さだ。

閉域接続にも対応

KCCSの支援サービスで提供される回線は、当面はUQ WiMAXのみで、将来的にはマルチキャリアに対応していく予定だ。資本関係のあるKDDIグループに限らず回線を調達していくほか、モバイルだけでなくNTT東西のNGNなど固定網もラインナップに加えていく計画だという。

WiMAXのみというと、UQ自身も手軽にMVNOを開始できるメニューを用意しており、魅力が薄まる感もある。しかしKCCSを利用する大きなメリットが1つある。それはKCCSは「WiMAX網提供パターン5」と呼ばれる、MVNO側の自由度が最も高い形態でUQと相互接続する予定であり、閉域接続やプライベートIPアドレスの割り当てが可能なことだ。そのため、ただのインターネット接続サービスではない、さまざまな高付加価値サービスが実現できる。森氏によれば、パターン5による接続はKCCSが初となる見込み。パターン5の場合、AAA(認証設備)やHA(移動管理設備)をMVNO側で用意するため多額の投資が要るが、KCCSのサービスを利用すればその必要なしに恩恵が受けられる。

このように従来にない特徴を持ったKCCSのMVNO支援サービス。1月21日の発表後、同社にはいくつも引き合いが来ているそうだ。

月刊テレコミュニケーション2010年3月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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