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IoTでため池の水位を遠隔監視――新ビジネス創出を目指す協和エクシオ

文◎小林秀雄(ITジャーナリスト) 2015.10.08

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協和エクシオは、メンテナンスが容易なため池の水位監視システムを開発した。同社は、従来からのICTのインフラ工事やソリューション事業に加え、次代の経営を支えるIoTビジネスに力を入れる。

安価な水位計測センサーを探せ開発に当たって重視したのは価格を抑えることだ。農水省がため池監視システム構築に対して補助金を交付するといっても、農家の経営に余裕はない。価格を抑えることは必須要件となるため、初期導入コストとして300万円という額を設定した。そこで必要となったのは安価に水位が計測できるセンサーを見つけることだった。

通常、池の水位を計測するために利用されているのは投げ込み式と呼ばれるセンサーだ。この水位計測センサーはペットボトルほどの大きさのもので、水中に入れておき、水圧を測定することによって水位を検知する。

投げ込み式の水位計測センサーは常に水中に入っているため、半年に1度ほどの割合で水圧を測定する電極を掃除する必要がある。そのたびに、メーカーの保守担当者がセンサーを水中から取り上げて清掃したうえでセンサーのアジャストを行う作業が発生するなど、メンテナンスコストがかかり、導入費用を押し上げる。

「安価に水位が計測できるセンサーはないかと調べて見つけた」(クラウド・セキュリティソリューション推進部門課長代理の神田敏宏氏)のが、音波を発信して水面との距離を計測する、非接触型と呼ばれる水位センサーだ。

センサーを取り付けるのは、ため池の周辺に設置したM2Mゲートウェイのポールから伸びるアーム部分だ。センサーは池の上にあり、水中に入っていないため、電極の清掃などセンサーメーカーが行うメンテナンスサービスは不要となる。その分、システム導入にかかるコストを抑制できたという。

 

ため池に設置された非接触型の水位センサー
ため池に設置された非接触型の水位センサー。M2Mゲートウェイのポールから伸びるアームに取り付けられたセンサーが水面に音波を発することによって水位を計測する。メンテナンスコストが安価なことが特徴


ため池遠隔水位監視システムを構成するのは非接触型水位センサー、センサーが取得した水位データを送信するM2Mゲートウェイ、受信したデータを蓄積・分析・表示するクラウドサーバーだ(図表1)。M2M通信には3Gのデータ通信カード、クラウド基盤には日本システムウエアのToamiを採用した。

 

図表1 ため池の遠隔水位監視システムの概要
ため池の遠隔水位監視システム

 

農家は、PC画面で現在と過去の水位、水位の変化量、予測水位などの情報を参照することができる(図表2)。さらに、水位の異常な上昇や低下が起きると、スマートフォンやPCにアラートメールを送付する機能も持つ。

 

図表2 ため池の遠隔水位監視システムのモニター画面[画像をクリックで拡大]
ため池の遠隔水位監視システムのモニター画面
ため池遠隔水位監視システムは「全体情報」と「個別情報」を提供する。全体情報は、PCの画面に表示した地図でため池の位置とため池ごとの現在の水位を確認でき、画面右側のカップが現在の水位を表している。個別情報の画面では、個々のため池の水位の変化をグラフで表示するなど、より詳細な情報を提供する

 

システムを開発するに際して、協和エクシオが心がけたのはシンプルな構成とすることだ。それは、農家に受け入れられる価格を実現するためだ。

まず、水位センサーのみでシステムを利用できるようにし、雨量計や監視カメラ、太陽光発電装置など他の機器を導入したいという要望に対してはオプションで利用可能とした。

例えば、雨量計を設置することによって、「雨が降っているのにため池の水位が上がっていない」ことがわかれば漏水が疑える。また、水門がどれくらい開いているかを把握する開度計という機器とM2Mゲートウェイを接続すればリモートで水門の開き具合を確認することが可能となる。

他の機器を利用すれば利便性も向上するが、価格も上がる。こうした機器の利用をオプションとして用意しつつ、ため池の水位監視が安価に始められることを最優先し、目標とした初期導入コストを達成した。

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