キーパーソンが語る

「Amazon S3と同等のストレージシステムは一般企業でも実現できる」――クラウディアン太田社長インタビュー

構成◎太田智晴(編集部) 2013.02.12

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ニフティやNTT Comのクラウドサービスにも採用されている「Cloudian」は、Amazon S3と同等のストレージシステムを構築できる製品だ。バックアップ用ストレージを経済的に実現できるソリューションとして、一般企業からも注目を集めている。クラウディアン社の太田社長に聞いた。

企業のバックアップ用ストレージシステムとして最適

――企業はCloudianを具体的にどのような用途で活用していけばいいのでしょうか。

太田 Cloudianを活用すれば、経済性の大変高いバックアップ用ストレージシステムを構築できます。障害に備えるためのデータのバックアップや、J-SOXに対応するためのアーカイブ用のストレージシステムが企業には必要ですが、こうした「万が一のため」というストレージシステムについては特にコストを抑えたいというのが企業の本音でしょう。

――バックアップといえば、先日、バックアップ・アーカイブ・ソフトウェア製品ベンダーのCommVault社がCloudianを公式認定したとの報道発表(関連記事)もありました。

太田 同社の「CommVault Simpana」は、世界で1万6000社が利用するバックアップ・アーカイブ・ソフトウェア製品で、ガートナーの調査ではザ・リーダーとして位置づけられています。そして、専用ストレージ装置だけではなく、Amazon S3にデータを保存するためのインターフェースを備えています。

CloudianはAmazon S3と高い互換性があることから、Cloudianで構築されたサービスやシステムに接続先を変更するだけでCommVault Simpanaを利用できます。CommVault Simpanaの利用者は、Cloudianを採用している国内外のクラウドストレージサービスだけではなく、企業自身がCloudianで構築したプライベートなクラウドにもデータを簡単にバックアップできるのです。

また、パブリッククラウドとプライベートクラウドを目的や用途、ファイルの種類などに応じてハイブリッドに使い分ける機能も持っており、事業者分散を図ったり、機密性の高い一部のデータは企業内に保存しておくといった使い方も可能です。

アマゾンはこの世界で圧倒的なポジションを築いていますから、Amazon S3に対応した製品は非常に数多くあります。S3 APIに完全準拠しているCloudianでは、そうしたAmazon S3対応の製品とそのまま連携することができます。

 

企業におけるバックアップ利用の構成例



――プライベートクラウドというと仮想化や自社専用のデータセンターといった印象がありますが、Cloudianの活用イメージについて、もう少し詳しく教えてもらえますか。

太田 Cloudianには、データを複数のサーバーに自動分散し、自動複製する機能が備わっています。仮にあるサーバーが故障したとしても、データは他のサーバーにも保存されているため、システム全体としてデータを消失しない仕組みです。複数データセンター間をまたがって利用できることから、あるデータセンターが倒壊しても、生き残ったデータセンターだけでサービスを継続することもできます。

また最近、企業内のエンドユーザーは、クラウドサービスを業務に使い始めています。例えば、数MBのファイルになるとメールの添付サイズを超えるため、Dropboxなどの「ファイル共有サービス」を利用して社内外と共有しているのではないでしょうか。これはある意味、企業やIT担当者の管理が届かない状態です。

それに対して、監視と管理を強めるというのも1つの方法ですが、クラウドサービスと同様の機能を提供する社内ITサービスを企業内限定で提供するという方法もあります。そのストレージインフラとしてもCloudianは利用できます。

専用ストレージ装置の半分以下のコスト

――しかし、クラウド事業者と同様のストレージシステムを構築できると言われても、コストや自社IT部門のリソースを考えると多くの企業では導入ハードルが高いのではないでしょうか。

太田 Cloudianはオープン価格ですが、企業で利用する場合のサーバー1台あたりの利用料は年間70万円を下回る程度です。調達する内蔵ディスクのサイズにもよりますが、サーバーの購入・保守費用を合わせても年間数百万円程度のコストで、数十TB(テラバイト)の容量に対応できます。これは専用ストレージ装置のコストの半分以下でしょう。

また、Cloudianには、システム構築や運用をお手伝いする10社のパートナー企業がいます。さらにこのうち数社のパートナー企業が、物理的に他のユーザーと隔離されたプライベートクラウドの構築・運用をすべて任せられる「マネジド・プライベートクラウド」のサービスを提供していますから、企業内のIT部門リソースの制約は導入のハードルとはならないでしょう。


Cloudianパートナー企業一覧
Cloudianパートナー企業


――太田社長は、昨年からよく聞くようになったビッグデータ時代の到来について早い時期から「BigDataとの戦い」として警鐘をならし、その技術紹介としてNOSQLの解説書も監修されています。最後に、これから私たちが考えておくべきことについてアドバイスをお願いします。

太田 実は最近、ビッグデータという表現を控え始めています。というのは、大量データを分析し個人の趣味嗜好にあった商品のリコメンデーションや、自社の評判分析になどに使うということがビッグデータと聞こえるからです。

私たちは、ビッグデータとの戦い、つまり「増え続ける多種多様な大量データの迅速な処理」のため、クラウド事業者や企業は従来型の技術だけではなく、すでに成熟している新たな技術を積極的に活用すべきということを伝えたいのです。アマゾンやグーグルが商用サービスに最大限活用している安くて良い技術があるのに、知らないから使わないというのでは、彼らに大きく引き離されてしまいます。

そして、もう1つ重要なポイントは、この安くて良い技術は、ビッグデータを持っていなくても、“スモールデータ”でも非常にメリットがあるということです。

東日本大震災を経験したことで、企業のデータを2重、3重に経済的にバックアップする必然性は大きく高まりました。同時にスマートフォンやタブレットPCの普及とともに、多くの利用者がクラウドサービスを当然のように使い始めています。この大きな流れをみると、クラウドを活用できる、または自社専用のクラウドを構築できる、データの種類や性格に応じてハイブリッドに使い分けられる企業と、そうでない企業とでは、コスト競争力、スピード、安全性といった点で大きな差が付くことになると思います。

著者プロフィール

太田洋(おおた・ひろし)氏

クラウディアン・グループの創立者。Jフォン/ボーダフォン・ジャパン在籍時には、世界初の写真付きメールサービス「写メール」や、世界初のロケーションベースドサービスである「J-Skyステーション」および「J-ナビ・サービス」を開発するなど、モバイル業界にいくつもの「業界初」を導入してきた。

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