2010年12月にソフトバンクグループとなったPHSのウィルコムが、ここにきて復調している。今年3月末には累計契約数が468万1600件となり、4年8カ月ぶりに過去最高を更新した。詳細な数字は公表していないが、同月は法人契約も過去最高の単月契約数を記録したという。
法人ビジネス好調の要因となっているのが、ソフトバンクテレコム(SBTM)の法人営業部隊との統合だ。
当初は別々に営業を展開していたが、担当企業や取り扱い商材が一部重なることから、効率化を目的として昨年10月に一体化、1人の営業担当者が1社を担当する「1社1アカウント」体制に変更した。
現在はウィルコムの営業部隊とSBTMの営業部隊が一緒になり、iPhone/iPad、固定電話サービス「おとくライン」などSBTMの商材とPHSを組み合わせて販売している。
なかでも顧客獲得に期待するのが、PHSとiPadを活用したクラウド型会議システム「ホワイトクラウドタブレットミーティング」だ。
図表1 PHSとiPadを活用したクラウド型会議サービス「ホワイトクラウド タブレットミーティング」 |
従来の電話会議サービスと違い、あらかじめ設定しておくだけで開始時間になるとメンバーのPHSに一斉に着信するほか、独自の認証方式の採用によりユーザー名やパスワードを入力する必要がない。また、場所を選ばずに会議に参加できる点や、1IDあたり月額1029円の定額制という安価な料金体系も企業に好評だという。
図表2 従来の電話会議サービスとの比較 |
「ウィルコムとSBTMが一緒になったからこそ提供できるサービス」と、ウィルコム法人事業統括部法人営業部部長(ソフトバンクテレコム営業・事業推進本部モバイル事業推進統括部PHS企画部部長)の本田秀幸氏は話す。
ウィルコム 法人事業統括部 法人営業部部長 本田秀幸氏 |
他社にはないアプリケーションの提案により、単に料金が安いというだけでなく、付加価値もウィルコムにもたらしているといえるだろう。