近義起CTOに聞くAXGP戦略「都市部での大容量モバイル実現がAXGPの責務」

WCPのAXGPは、TD-LTEの数のメリットを享受しつつ、PHSで培われたマイクロセル技術による大容量化を実現する「いいとこ取り」のシステム。同社CTOの近義起氏は、広域をカバーできる3G/LTEと組み合わせることで真価を発揮すると話す。


――Wireless City Planning(WCP)が構築したAXGP(Advanced eXtended Grobal Platform)網を利用するソフトバンクの高速データ通信サービスが2月24日にいよいよスタートしました。手応えはいかがですか。

 我々としては、とにかくお客様に御迷惑をおかけすることなくスタートが切れ、大変良かったと思っています。お客様も順調に増えているようです。

――近さんはウィルコムでXGP、いわゆる「次世代PHS」の開発を手掛けてこられました。現在はこのXGPを継承した通信事業者WCPのCTOとして、中国などで事業化が進められているTD-LTEとの「100%互換」システムであるAXGPの立ち上げを担っているわけですが、AXGPとXGPはどんな関係にあるのですか。

 我々は10年前から、モバイルブロードバンドの時代になるとネットワークの容量が圧倒的に足りなくなることを予想していました。そしてPHSで作り上げたマイクロセルネットワークがブロードバンドを運ぶ最適なネットワークになると考えて、これをうまく活用できるシステムとしてXGPの開発を進めてきたのです。

ところが、市場環境の変化により、エコシステムが大きくないと通信システムが維持できなくなることが明確になってきました。

そこでXGPで設計したデザインコンセプトやアルゴリズムなどを保ちながら、グローバルなエコシステムに合わせていこうということで、TD-LTEとの互換を強めるように規格を改造していった。これがAXGPなのです。

――TD-LTEとの「100%互換」がうたわれています。中国などで導入される端末を手を加えずに日本に持ってきても使えると考えていいのですか。

月刊テレコミュニケーション2012年5月号から再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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近義起(ちか・よしおき)氏

茨城大学理学部物理学科卒業後、1985年に第二電電(現KDDI)入社。DDIポケット技術企画部長(現ウィルコム)、ウィルコム執行役員プロダクト統括本部長兼技術本部長などを経て2007年同社取締役執行役員副社長に就任。XGP事業を継承したWireless City Planningの設立に伴い、2010年12月同社執行役員CTO兼技術統括部長に就任

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