前編では、NTTドコモのLTE戦略の2つの大きな特徴と、そのロードマップを時系列に解説した。後編では、さらにドコモのLTE戦略を詳細に見ていくことにしよう。まずは、ドコモの具体的なLTEサービスの展開について、データ通信端末向けとハンドセット(音声端末)向けに分けて予測する。
データ通信端末向けLTEサービスの具体像
2010年12月の商用サービス開始時点で提供されるのはデータ通信サービスだけだ。これはLTE対応ハンドセットの開発が2011年以降となるためである。ドコモは、USB対応とカードタイプの2種類のLTE対応データ通信端末のプロトタイプを発表しているが、PC内蔵型などが製品化される可能性もあるだろう。
NTTドコモのLTEデータ通信端末コンセプトモック |
当面のLTE対応端末は、HSPAにも対応するデュアルモードとなる。また、周波数は2GHz帯、1.7GHz帯、新800MHz帯の3バンドをサポートする。LTEエリア内では下り最大37.5Mbps(端末ベース。システムベースでは43Mbps)の高速データ通信を、それ以外の地域ではHSPAを使ってデータ通信を行うというサービスイメージだ。
また、LTE端末は当面、UEの「カテゴリ3」に対応したものとなる。そのため端末自身の性能としては、下り最大100Mbpsに対応している。そこで、開始時点の運用帯域幅5MHzが10MHz幅に拡大されれば下り最大75Mbps、15MHzになれば下り最大100Mbpsでデータ通信が行えるようになる(いずれも端末ベースの最大通信速度)。前編で見たように10MHz化は2012年、15MHz化は2014年となる見込みが高いが、エリア限定で実現が前倒しされる可能性もある。また、屋内エリアでは2010年12月時点から75Mbpsでのサービスが提供される。
図表 LTEの端末(UE)カテゴリ別の最大通信速度 |
料金については明らかにされていないが、ドコモはLTEを現行のW-CDMA/HSPAと一体展開する意向であることから、すでにHSPAで提供されているPC向け二段階定額制サービスなどの現行プランに準じた料金体系におそらくなるだろう
では、ドコモのLTEデータ通信サービスの魅力はどこにあるのだろうか。