導入・選定ガイド

基礎から学ぶ「MDM(モバイルデバイス管理)ツール」の選び方

文◎坪田弘樹(編集部) 2011.10.24

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

企業がスマートフォン/タブレットを活用するうえで、必須の管理ツールとなるのがMDM(Mobile Device Management)だ。今年に入って急速に充実してきたMDMの基本機能や仕組み、選択におけるポイントなどをレポートする。

MDMの仕組みを知る

次に、MDMの仕組みについて見ていこう。システム構成や、MDMサーバーと端末間の通信方式、対応するOSや機種などは、MDMを選ぶ際の重要なポイントにもなる。

MDMの基本構成は、管理者がMDMサーバーから指示・命令を送り、これを受けた端末がMDMサーバーとの間で通信してコマンドを実行するというものだ。管理者が出すコマンドは次のような方式で端末に届く。

(A)OSベンダーが提供するプッシュ型通信の仕組みiOSはApple Push Notification Service、AndroidはCloud to Device Messeaging(C2DM)を利用

(B)通信キャリアのSMSを使う

(C)端末内のエージェントソフトとMDMサーバー間で定期的に通信する(ポーリング)

(A)の例として、アイキューブドシステムズの「CLOMO MDM」の構成を図表1に示した。


図表1 「CLOMO MDM」によるデバイス操作の概念図
図表1 「CLOMO MDM」によるデバイス操作の概念図


また、(B)の方式は、通信キャリアが自社の端末に対して提供するサービス(NTTドコモの「スマートフォン遠隔制御サービス」、KDDIの「リモートデータ削除 for IS series」など)のほか、同キャリアにMDMをOEM提供しているインヴェンティットの「MobiConnect」や、富士通ビー・エス・シー(BSC)の「FENCE-Mobile RemoteManager」(図表2)なども採用している。


図表2 富士通BSC「FENCE-Mobile RemoteManager」のシステム構成
図表2 富士通BSC「FENCE-Mobile RemoteManager」のシステム構成


(A)(B)の方式はどちらも、管理者がコマンドを指示した時点ですぐに適用できる即時性が利点だ。これに対して、(C)は、(A)(B)の手段が使えないときの補助的な位置付けとなる。

モバイル端末は多様な状況で利用されるため、複数の通信方式に対応してコマンド実行の確実性を上げているMDMもある。AXSEEDの「SPPM for Android」だ。なお、NIerのスターネットも、このSPPMを使ったMDMサービス「STAR-MDM」を提供している。

図表3のように、指定した間隔で定期確認をするポーリング方式と、即時性が必要なコマンドはすぐに実行できるC2DMによるプッシュ方式、そして、C2DMが使えない場合の緊急措置として、電話着信をトリガーに即時にコマンドを実行するための電話着信ポーリングの3方式を用意。例えば、深夜などに端末紛失が発覚し、管理者がMDMの管理画面にアクセスできないような場合でも、電話をかければ即座にリモートロックなどが行える。


図表3 「SPPM for Android」「STAR-MDM」が備える3つの通信方式
図表3 「SPPM for Android」「STAR-MDM」が備える3つの通信方式



Android向けの鍵は対応機種
iOS端末については、アップルが提供している管理用APIを使ってコマンドを実行する。そのため、各ベンダーのMDMに大きな機能差はない。

一方、Androidの場合はまだOS標準の管理機能やAPIが十分でない。そのため、MDMサーバーと連携するクライアントソフト(エージェント)を端末にインストールして、これがコマンドを実行する。Androidも徐々に管理機能が充実していくはずだが、当面はこの方式が主流になるだろう。

MDMの機能やエージェントの開発はベンダーが独自に行うため、iOS向けに比べて、Android用MDMでは当然機能差が生じる。そこで留意すべきなのが対応機種だ。Android端末は、OSバージョンの異なる多様な端末が流布しているうえ、OSが同一でも、メーカーが独自機能の作り込みやカスタマイズを行っている。そのため、機種ごとにMDMの対応状況が変わってしまう。MDMの全機能が使える端末もあれば、一部の機能が未対応の端末、あるいはまったく対応していない端末があったりといった状況だ。

Android端末を利用するユーザーにとっては、今後も次々と登場する新機種に対して、どれだけ早く対応できるかもMDM選びでは重要なポイントになる。

Android OSそのものを改修

一方、Android OSそのものを改修し、セキュリティ機能を強化するソリューションも登場した。米Three Laws of Mobility(3LM) が開発したセキュアプラットフォームを採用した、KDDIのセキュリティ管理サービス「KDDI 3LM Security」だ。

Android Application Frameworkに機能を追加するもので、前述のようにエージェントソフトを搭載する方式では実現できなかったメモリ・SDカードの暗号化や端末管理など、強固なセキュリティ機能をOSレベルで実現する。8月下旬からトライアルサービスを開始し、11月から本格提供を始める。

当初は、「SIRIUSαIS06」「G'z One IS11CA」「EIS01PT」をサポートし、秋以降には全機種が3LMのフレームワークに対応する予定だ。KDDIでは、今後発売するAndroid端末に、3LMのフレームワークを搭載する方針という。

管理できるのはKDDIの端末のみという弱点はあるものの、機種によって機能差がなく、メーカーが違っても統一されたレベルでのセキュリティ管理が実現できるのがKDDI 3LM Securityの大きな特徴だ。

スペシャルトピックスPR

casb1804
kccs1805
watchguard1805

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】IoT FUTURE CITY
 [IoTは暮らしをどう変えるか]“おらが街”もデジタル化
 [柏の葉スマートシティ]IoT事業創造の一大拠点に
 [Fujisawa サスティナブル・スマートタウン]持続的に成長する街を
 [Fukuoka City LoRaWAN]IoTで変化を生み出す街


◆[インタビュー] NEC 河村厚男常務「キャリア事業を構造改革」 ◆「日中間通信」の課題と攻略法 ◆ソフトバンクが日本初のNB-IoT ◆モバイル市場の公正競争の今後 ◆急成長するシスコの“サービス”事業

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

インテル5Gをエンドツーエンドでカバー
新たな価値創出を目指すインテル

インテルは強みの仮想化技術で5G時代のネットワーク構築に貢献する。

コマーチキャリア向けOSS/BSSに強み
自動化やe-ヘルスで社会課題解決

自動化やe-ヘルスで多くの実績を持つコマーチが日本市場に参入した。

ブロードメディア・テクノロジーズ小森コーポレーションが
Aryakaで日中間通信を安定化!

日系企業の中国ビジネスに立ちはだかるのが通信環境の問題だ。

IIJグローバルソリューションズ日中間ネットワークの安定運用へ
VPN規制を乗り切る解決策提供

安定的な越境通信を実現するには何が必要か?

NTTコミュニケーションズIoTビジネスの種まきから結実まで
NTT Comの「次の一手」とは

自社発行型eSIMでの新サービス提供に期待!

SAS Institute Japanデータ分析の老舗、SASが提案するIoT時代のデータ活用

IoTのはじめの一歩を踏み出す前に考えるべきポイントは?

SigfoxSigfoxが開始1年で100万回線!
いよいよ花開くIoTビジネス

LPWAの代表格「Sigfox」の最新動向と活用事例を徹底レポート!

WatchGuard Wi-Fi Cloud不正APを自動遮断するWIPS搭載!
ソーシャルWi-Fiで販促支援も

セキュアな無線LAN環境を実現できる「WatchGuard Wi-Fi Cloud」

無線LAN構築・運用のポイントをSCSKが語る

無線LANの大きなトレンドとなっている「クラウドWi-Fi」で課題解決!

ジェイピー・セキュア導入実績100万サイト以上の
国産WAF「SiteGuard」

業界最速レベルで防御機能を提供するジェイピー・セキュアのWAF製品

ライムライト・ネットワークスクラウド型WAFでWebサイトを保護

ライムライトなら、自社のCDNやDDoS対策との多層防御でオリジンサーバーを攻撃から防御できる。

Office 365ユーザは使わなきゃ損
Teamsでチームワークが劇的に!

Office 365の新ツール「Teams」を使い始める企業が続出している。

CASO新技術のホワイトボックス
M2Mルーターは「切れない接続」

Foxconnグループでホワイトボックスを展開するCASO。

東京エレクトロンデバイスグローバル企業のSaaS活用を後押し
マルチクラウド化の準備はCASBで

マルチクラウドを一元的に管理したい。そんな望みを叶えられる。

拠点・モバイルをつなぐだけ!
クラウドの安全はシンプルに守る

クラウド利用の拡大とともに複雑化するセキュリティ課題を解決!

NetskopeCASBでクラウドはどこまで操れるか
既存のセキュリティとどう違う?
 

Netskopeを例にCASBの機能と使い方、メリットを整理した。

ソフトバンクソフトバンクがSMB向けの
ソリューションパートナー募集!

働き方改革を中心に新たなソリューション開発を支援する。

日本マイクロソフトSkype for Businessを
快適に使いこなすコツとは?

UCの導入効果を最大化するためには備えが必要だ。

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション20180226
ngn
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます