「日本の事業に対する米本社の評価は極めて高い。2017年度(2016年9月~2017年8月)は、シスコジャパンがトップカンパニーとして表彰された」
事業戦略発表会の冒頭、鈴木みゆき社長は2017年度の事業を振り返り、その好調ぶりを語った。前年度のハイライトとして鈴木社長が挙げたのが、中堅中小企業向け、サイバーセキュリティ対策、デジタル化/IoT関連の3つだ。
シスコシステムズ 代表執行役員社長の鈴木みゆき氏
中堅中小企業向けビジネスについては、約2年前に開始した日本独自ブランド「Cisco Start」とクラウドWi-Fiの「Cisco Meraki」が好調で「前年度比で売上が30%以上増加した」(鈴木氏)。Merakiについては、NTT東日本の「ギガらくWi-Fi」に採用されたことが起爆剤になったという。
サイバーセキュリティ対策については、人材育成の取り組みである「スカラシッププログラム」や、情報通信研究機構との研究協力が順調に進展。IoT関連では、京都府におけるスマートシティ構築や、ファナックをはじめとする製造業のパートナーとの共同ソリューション開発が進展していると説明した。
「すべてをつないで、あらゆることを可能に」
2018年度の事業戦略は、こうした好調な領域を重点分野に置いている。鈴木社長が挙げたのが、(1)日本のデジタル変革を加速、(2)次世代プラットフォームの構築、(3)日本市場により根ざした事業展開の3つだ。
2018年度の重点戦略
(1)については、これまで実証実験に留まっていたデジタル化/IoTを実プロジェクトとして展開していく。今年9月に発表した新IoTプラットフォーム「Cisco Kinetic」(参考記事)を軸に、製造業やスマートシティ向けのデジタル化/IoTソリューションを本格展開する。
サイバーセキュリティ対策に関しても、より包括的なソリューション/サービス展開を進めるとともに、人材育成の活動も継続する。また、ユーザー企業の関心が高い働き方改革関連では、コラボレーションツールのCisco Sparkの提供に加えて、「シスコの社内実践で得たノウハウ・知見も社外に発信していく」との考えを示した。
(2)の次世代プラットフォームは、2017年6月に発表した「インテントベースドネットワーク」が核になる(参考記事)。鈴木社長は、ネットワーク運用を簡素化・自動化する「Cisco Digital Network Architecture(DNA)」「Cisco Intersight」によって、運用管理者が直感的に管理・制御できる新たなネットワーク基盤を提供すると説明。デジタルビジネス/IoTの基盤となるネットワークの刷新を提案していく。
また、通信事業者やサービスプロバイダ向け事業においては、5G(第5世代移動通信システム)インフラの構築を支援するとともに、ギガらくWi-Fiのように通信事業者との協業による企業向けサービスの開発と市場開拓にさらに注力することで、(3)日本市場に根ざした事業展開を推進する。なお、KDDI、NTTコミュニケーションズとはすでにCisco Spark販売で協業している。
2020年に向けたビジョンは“All Connected. Anything Possible”
シスコ ジャパンは2020年に向けたビジョンとして「All Connected. Anything Possible」を掲げている。その実現に向けて鈴木社長は、「あらゆるものをつなげる中心にあるのはネットワーク。シスコがあらゆることを可能にして日本のデジタル変革に貢献したい」と意気込みを述べた。