キーパーソンが語る

富士通 妹尾役員「光伝送も基地局もオープン化時代。このチャンスを逃して、いつやる」

聞き手◎太田智晴(編集部) 2017.05.29

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

通信事業者向けの光伝送システムと携帯電話基地局――。この2つのプロダクトを主力とする富士通のネットワークプロダクト事業本部を率いる妹尾雅之執行役員は、「このチャンスを逃したら、いつやるんだ」と意気込む。チャンスをもたらしているのは、光伝送システムと基地局の世界で始まったオープン化、そして5Gだ。

 

――妹尾さんが本部長を務めるネットワークプロダクト事業本部は通信事業者向けの事業を展開していますが、長年この分野を歩んでこられたのですか。

妹尾 富士通に入社してだいぶ経ちますが、その半分くらいはエンタープライズをやっていました。通信事業者向けの装置開発を担当するようになったのは2000年からです。だから、まだ“若者”ですよ(笑)。

――2000年というと、IP化の流れが本格的なうねりとなりだした頃です。通信事業者が大きな変革期に突入するなか、通信事業者向けビジネスを担当され始めたのですね。

妹尾 逆に言うと、だから呼ばれたのだと思っています。少し言葉は悪いかもしれませんが、「言う通りに作れ」というのが以前の通信事業者向けビジネスでした。しかし、IP化以降は、「提案してくれ」というふうに変わっていきました。エンタープライズと通信事業者のお客様の意識がだんだん似てきたわけです。特にここ数年、その変化が激しくなっています。

IP化という1つの大きな錦の御旗の下、全世界の通信事業者が同じ方向に進んでいた頃は、まだよかったのです。しかし、今は違います。「その次、何するの?」とお客様は求められます。

例えば、米AT&Tは「グーグルのようになる」といろいろな変革に取り組んでいますが、こうした状況を見ても、変わってきたなと実感しますね。

 
富士通 執行役員 ネットワークビジネスグループ ネットワークプロダクト事業本部長 妹尾雅之氏


DCIでの負けをキャッチアップ――通信事業者の変革が進むなか、富士通は通信事業者向けビジネスにどのように取り組んでいるのですか。まずはネットワークプロダクト事業本部の事業領域について教えてください。

妹尾 我々は、主に通信事業者向けのプロダクトビジネスを担当しています。通信事業者向けのSIやサービス、ソフトウェアについては、ネットワークソリューション事業本部という別の組織がメインに担当しています。

――主力のプロダクトは何ですか。

妹尾 ざっくり言うと、光伝送システムと携帯電話基地局の2つが主力です。光伝送システムについては、お客様の仕様書に沿って開発するNTTの仕様化品を古くからやっているほか、北米向けに「FLASHWAVE」というシリーズを提供しています。また、2年前からは「1FINITY」という新しいプロダクトも販売しています。

基地局に関しては、NTTドコモ向けにいろいろとやらせて頂いています。

――最初に、光伝送システムのほうから詳しく教えてください。最近の光伝送システム市場はどうですか。

妹尾 市場環境はフラットで、極端な変化はありません。通信事業者の需要が漸減傾向にある一方、データセンター事業者の需要は少し増えてきているので、全体としては若干の増加傾向にあると感じています。

――データセンター事業者の需要とは、いわゆるデータセンター相互接続(DCI:Data Center Interconnect)市場のことですか。

妹尾 そうです。データセンターを持っているお客様が、自前でデータセンター間をダークファイバーで接続する案件が北米を中心に増えています。

以上が全体の市場感ですが、こうしたなか富士通のビジネスはどうなっているかというと、今シェアを少し落としています。

競合はデータセンター間のビジネスを堅調に伸ばしており、そこで負けてしまっているのです。富士通は少し開発に出遅れてしまいました。コストインセンティブなデータセンター間の市場では、いかに安くできるかが重要で、今後どうキャッチアップしていくかが課題です。

富士通は元々、Tier1の大きな通信事業者には強いんです。ですから、通信事業者以外のビジネスをどのように伸ばしていくかが最大のポイントだと考えています。

――主として日本と北米で光伝送システム事業を行っていますが、それぞれの売上の割合はどうなっているのですか。

妹尾 日本と北米の売上は、半々くらいですね。北米にも数多くのお客様がいます。

――光伝送システムにおける富士通の強みは何ですか。

妹尾 国家プロジェクトでコヒーレント通信のDSPを複数社で開発しており、それが一番の大きな差別化要素だと思います。現在、400Gやさらなる長距離化に向けた開発を進めていますが、海外ベンダーと互角に戦えます。

続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

著者プロフィール

妹尾雅之(せのお・まさゆき)氏

1961年2月生まれ。83年3月名古屋工業大学工学部電子工学科を卒業後、同年4月に富士通入社。2007年12月ネットワークソリューション事業本部 IPコアテクノロジー事業部長、13年5月ネットワークインテグレーション事業本部長などを経て、15年4月に執行役員。現在、執行役員 デジタルサービス部門 ネットワークビジネスグループ ネットワークプロダクト事業本部長(兼)共通開発本部担当を務める

スペシャルトピックスPR

takarajoho1706
yamaha1706
sony1706

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5G時代の新ビジネス創出戦略
<Part 1>5G革命の本質とは? - 主戦場は「リアル」で「シリアス」な領域へ
<Part 2>5Gで超現実の感動体験 - ポストスマホ時代のビジネスチャンス
<Part 3>人手不足も5Gが救う - AI・4K・5Gが三種の神器に

● [インタビュー]OKI 常務 坪井正志氏「“IoTのOKI”実現の準備は整った」 ●LPWA「ローラ」ネットワークの選び方 ●データセンターインターコネクト(DCI)最新動向 ● 新LPWA規格「Weightless-P」が日本上陸

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
WS変革Day2017 A

スペシャルトピックス

ヤマトの総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」で様々な付加価値!

RADIUS内蔵APとの連携で無線/有線LANの両方でデジタル証明書認証

LPWAネットワークを自ら構築するなら、世界で豊富な実績を誇るキャリアグレードのActilityだ。

業界最高レベルのキャリア/サービスプロバイダ向けルータが登場する。

無線プロトコルスタック「SkWAN」搭載のLPWA基地局なら、1台で最大6400台のエンドデバイスを接続できる!

IBM Watsonが最適な活用方法や脅威対策を提供! 先進のPC/スマホ一元管理を実現する「IBM MaaS360」とは?

「企業向けソーシャルプラットフォーム」で働き方そのものも変える!

ペタバイトクラスも「大きなバケツ」で一括管理できる!

中堅・中小企業を支援する宝情報がUTMのサポートサービスを開始する。

教育現場への無線LAN導入を成功させるための3つのポイントとは?

スマートデバイスを標的にした未知の不正アプリにも対応できる。

設計から製造までセキュアなプロセスで、他のAndroidにはない安全性。

Webサイトの利便性とセキュリティ向上を同時に実現できる最適解とは?

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション5月号
ms
compass
packet

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2015 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます