「農業M2Mの目的は可視化ではない」――IoTで農作業の自動化に挑む

「いかに作業を省力化するか」――。日本農業の課題に挑むルートレック・ネットワークスはM2Mとクラウドで、土壌の状態をセンサーで把握して水と肥料を自動供給する仕組みを実現した。

栽培ハウスに整然と並ぶ作物に、土壌に埋設されたチューブから肥料を溶かし込んだ水(培養液)が与えられる。培養液を与えるのは人ではない。クラウドが自動的に行う。これは、M2M技術を核に立ち上げたベンチャー企業、ルートレック・ネットワークスの農業クラウド「ZeRo.agri」の機能だ。

「ICTを活用することによって農家の労力を削減できる」。同社・代表取締役社長の佐々木伸一氏はこう語る。目指すのは農作業の機械化であり省力化だ。それによって、農家に休日がもたらされる日を思い描く。

ルートレック・ネットワークス 代表取締役社長 佐々木伸一氏
ルートレック・ネットワークス 代表取締役社長 佐々木伸一氏

農業はIoT(Internet of Things)の適用分野として多くのICT企業が参入している。その一般的な仕組みはこうだ。

温度や湿度等をセンサーで計測し、そのデータをクラウドに送る。クラウド側はデータを農家に提供する。生育環境を数値で提示することによって、農家はその時々の環境に合わせて水や肥料を適切に与えることが可能となる。つまり、多くの農業クラウドが主眼としているのは「生育環境の可視化」である。

それに対してルートレック・ネットワークスは、人手で行っている農作業そのものを機械化することを目指した。人手による作業を省力化したいという農家の思いに応えるというテーマに挑んだ成果が、ZeRo.agriである。

図表 ZeRo.agriの概要図
ZeRo.agriの概要図

月刊テレコミュニケーション2014年7月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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