NTTコムがクラウド戦略「さらなるグローバル化とSDN推進で、2000億円以上の収益目指す」

NTTコミュニケーションズは2014年4月15日、同社のクラウド事業ビジョン「Global Cloud Vision」のこれまでと今後の展開を説明する記者会見を開いた。ICT市場の変化を踏まえた顧客へのバリューとして、通信事業者ならではのネットワークとクラウド連携の強化、仮想化の加速、自動化の推進の3つを挙げ、クラウド事業の収益拡大を宣言した。

記者会見にはNTTコミュニケーションズ 代表取締役社長の有馬彰氏が登壇し、まずGlobal Cloud Visionの役割について「シームレスICTソリューションで顧客の経営改革に貢献することだ」とあらためて説明。従来、拠点ごとにオンプレミスで分散して構築されていたICT環境を、NTTコムのクラウドやコロケーションサービスに移行してもらうことで、グローバルに統合できるとした。

さらに有馬氏は、「お客さまにはクラウドにつながるネットワーク、ネットワークにつながるLAN、そしてクラウド上の汎用的なアプリケーションも合わせて使ってもらっている。NTTコムは業務アプリケーションを持っていないため、そこはパートナー企業と連携している。また、セキュリティサービスや運用管理サービスも合わせて利用してほしいと考えている」と同社がトータルでICT環境を提供できることをアピールした。

Global Cloud Vision
ICT環境をNTTコムのクラウドやコロケーションに移行することで、グローバルに統合されたICT環境を実現できるという

ユーザー企業数も順調に伸びているという。例えば、Bizホスティング Enterprise Cloud/Cloudnのユーザー数は、2012年度の2400社から、2013年度は4900社へと倍増した。

具体的なユーザー事例も紹介された。HOYAは1700のサーバーの約7割をクラウド化し、ICTコストを約2~3割削減した。また、ヤマハ発動機は700あったサーバーの99%をクラウド化し、ICTコストを約3割削減することに成功した。

ANAグループは1万7000台の端末をユニファイドコミュニケーションデバイスに置き替えた。NTTコムのネットワークサービス「Arcstar Universal One」を経由し、クラウド型ユニファイドコミュニケーションソリューション「Arcstar UCasS」を活用することで、コスト削減と業務効率向上を同時に実現した。

ハイテンポなM&Aでグローバル展開をさらに加速

ユーザー企業数の増加に伴い、データセンターの床面積も拡大している。2012年度の15.8万平方メートルから2013年度は19.8万平方メートルに増加している。今後もデータセンターへの投資は続けていくが、メインは海外だ。「2013年度は日本と海外がほぼ10万平方メートルで同じくらいだが、海外のデータセンターを増やす取り組みを進めている。現在、建設途上にあるデータセンターはすべて海外にある」(有馬氏)

NTTコムのデータセンター面積と拠点数の推移
NTTコムのデータセンター面積と拠点数の推移

2014年度はデータセンターの面積を24.6万平方メートルまで増やす予定だが、そのうち日本は約10万平方メートル。一方、海外は約14万平方メートルで、海外の方が日本よりも約1.5倍広くなるという。

グローバル展開を加速させるため、NTTコムはM&Aも積極的に行っている。「かなり早いテンポでM&Aを実施しながら、グローバル展開の促進とサービスの充実を図っている」(有馬氏)。今年に入ってから、ネットワークサービス事業者のVirtela Technology Services社、会議サービス事業者のArkadin、データセンター事業者のRagingWire社の買収手続きが完了した。

これらの実績が評価され、米国の調査会社IDCの「APAC地域のデータセンター・クラウドサービス評価レポート」と、同ガートナーの「Magic Quadrant for Global Network Service Providers」において、NTTコムは初めてリーダーに位置付けられたという。

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