「移動範囲が広くて担当者が捕まらない」――積年の課題をW-VPNで解決した日立マクセル

5万平方メートルの敷地に20を超える事務所・工場棟が建つ、日立マクセル・京都事業所。建屋を移動し、さらに外出も頻繁な社員との連絡を迅速に行うにはどうしたらよいのか。同社はその解決をウィルコムの「W-VPN」に求めた。

記録メディア、電池の製造メーカーとして知られる日立マクセル(本社・大阪府茨木市)。日東電気工業の乾電池、磁気テープ部門が分離独立し、マクセル電気工業として1961年に創業した同社は、国内で初めてアルカリ乾電池を開発。「Maxellのカセットテープ」は誰もが馴染み深いが、カセットテープの製品化も同社が国内では初となる。

社名の「マクセル」は「Maximum Capacity Dry Cell=最も性能に優れた乾電池」に由来する。そこからも分かる通り、一次電池(直流電力の放電のみができる)の開発・製造を起源とする技術力を発展させ、その後磁気テープ、光ディスクなどの記録メディア、二次電池(蓄電池。リチウムイオン電池等)などへと事業分野を拡張してきた歴史が、同社の強みを示している。高品質な製品を次々と世に送り出してきた「モノづくり力」を差別化ポイントに置き、現在は、リチウムイオン電池の生産能力拡大、光学部品や、プラズマディスプレイパネル用光学フィルム等の機能性材料の生産増強などに注力している。

電話機が1人3台

その日立マクセルの主要生産拠点は京都府大山崎町にある。ストレージメディア事業部、二次電池事業部の主要2事業部が集まる京都事業所だ。5万平方メートルの広大な敷地内に、20棟を超える事業所棟、工場が建ち並び、正社員数も約1000名を数える。

2008年、この京都事業所がPBXの更改時期を迎えた。新たに導入するPBXは早々に、日立コミュニケーションテクノロジーのIP-PBX「NETTOWER CX9000IP」に決定したものの、1つ重大な検討材料が残っていた。携帯端末の活用である。

同事業所では、1つの製品を造るにも工程ごとに建屋が異なり、そのため各棟を頻繁に行き来する社員も少なくない。個々の所在をつかみ、連絡を取るのは容易ではなく、さらに、夜間時も連続操業を行っているため、製造現場のリーダー・主任クラス以上には、緊急時の連絡手段も確保する必要がある。

また、京都府内にはもう1つ、福知山事業所が存在し、両所で役職を兼任する社員は頻繁に移動を行う。こうした環境から、「社員間のコミュニケーション」は同事業所にとって常に課題となってきた。

その解決策として、これまで活躍してきたのが構内PHSと携帯電話だ。従来から構内PHSが稼動しており、また、外出時や勤務時間外の連絡手段が必要な者には携帯電話を貸与していた。そのため、自席の固定電話と構内PHS、携帯電話の3台を使い分け、移動時には常に2つの端末を持ち歩く者も多かった。

こうした運用により、移動する社員との連絡は可能になったものの、そこには未だいくつもの課題があった。個人所有の携帯と合わせれば3台もの電話機を常に持ち歩かなければならない不便さは、容易に想像できる。また、端末が多ければ、紛失による情報漏洩リスクも自ずと高まる。

京都総務部は、これらの課題を解決するソリューションの選定を進めた。

広大な敷地の日立マクセル・京都事業所
日立マクセル・京都事業所の入口付近。その敷地は、「~通り」と呼び名が付けられた道路が何本も走る広大なものだ

月刊テレコミュニケーション2009年5月号から転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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