【NGNの新展開】帯域確保型データ通信「データコネクト」の活用法を徹底検証(前編)

NTT東西のNGNが新しい展開を見せている。6月1日から提供が始まった帯域確保型データ通信「データコネクト」は企業ユーザーにとって、どのような利用価値があるのかを徹底検証した。

データコネクトの仕様と料金

そんななか、2010年6月1日から帯域確保型データ通信サービス「データコネクト」が開始された。このサービスはNGNの「ひかり電話」の標準機能として提供され、SIPを用いてセッションを張った相手との間でデータ通信を可能とするものだ。

実は、この機能は商用サービスに先立って実施されたNGNフィールドトライアルでは利用できたものだ。商用サービス開始後もNTT東西から公開されたNGNの技術仕様には記述があり、網の機能としては実装されていたと思われる。しかし、その機能を使うサービスメニューがない状態であった。

今回、ようやくこの機能を使うサービスが定義され、提供も開始されたわけである。

ここで、データコネクトを説明する前にSIPセッションとメディアストリームについて図表3を用いて解説する。SIPを用いた通信の場合、通信に先立ってSIPサーバー経由で通信路となるSIPセッションを設定する。このSIPセッション中にメディア種別と使用帯域を指定した複数のメディアストリームを流すことができる。

図表3 SIPセッション中のメディアストリーム
図表3 SIPセッション中のメディアストリーム

NTT東西のNGNの場合、このメディア種別としては音声(m=audio)、映像(m=video)、データ(m=application)の3種類が許容されており、1つのSIPセッション中には最大5個のメディアストリームを流すことができる。

データコネクトでは、1つのメディアストリームで1Mbpsまでのデータを送信することができる。ただし、5個までのメディアストリームを流せるので、SIPセッション当たりでは最大5Mbpsということになる。

次に料金体系であるが、基本的にはひかり電話の料金体系を継承したうえで、低速のデータ通信には非常に安価な料金が設定された。データコネクトの料金体系を図表4に示した。

図表4 データコネクトの料金体系
図表4 データコネクトの料金体系

ここで注意が必要なのは以下の点である。

(1)ここで言う「帯域」とは、SIPセッションを張りメディアストリームを設定する際にユーザーが指定する値であること。NGNはこの値に基づいて網内のリソースを確保する。実際に流したデータ量ではなく、網が帯域を確保している時間に対して課金される。

(2)メディアストリームごとに課金されるのではなく、SIPセッションごとに課金されること。従ってデータコネクトの料金体系においてメディアストリーム当たりの最大値である1Mbpsを超える帯域も規定されており、1Mbpsを超える場合は従来のテレビ電話と同じ料金となっている。

後編では、データコネクトの利用用途について考察していく。

月刊テレコミュニケーション2010年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

今井恵一(いまい・けいいち)

NECに入社以来、交換システムの開発、IPv6などインターネット関連の技術マーケティング、企業向けオフィスソリューションの企画などを手がける。2006年よりテレコムサービス協会での活動を始め、現在は政策委員会委員長として、NGNの利活用や接続ルールなどを中心に積極的な政策提言を行っている。

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