LINE以上、UC未満の“使える”ビジネスチャットの選び方(前編)メールでは遅すぎる!「チャット」は企業に必須のビジネスインフラへ

LINEの国内利用者数は5800万人以上。すっかり日本の「生活インフラ」として定着したチャットが、「ビジネスインフラ」としても急速に浸透し始めている。ただ、LINEのようなコンシューマー向けのチャットを企業で使うのはリスクが伴う。本特集ではチャットを業務で活用するメリット、そして企業向けに開発された「ビジネスチャット」の特徴や選び方を紹介していく。

「メールとはスピードが全然違う」それでは、業務にチャットを使うメリットとは何だろうか。メールと電話という従来型のコミュニケーションツールと比較しながら、そのメリットを見ていきたいが、実際にチャットを業務に利用するユーザーの多くが口を揃えるのは、「メールとはスピードが全然違う」ということだ。

現代のビジネスにおいて、何よりも重要なのがスピードだが、チャットはスピーディな業務連絡や意思決定、情報共有などを実現するというのである。

ビジネスチャット「COMPANY Messenger Powered by LaKeel」を提供するレジェンド・アプリケーションズ プロダクト事業部 プロダクト営業グループの片石哲也氏は、チャットの特徴として「リアルタイム性」「プレゼンスの把握」「グループコミュニケーション」の3つを挙げる。

チャットにリアルタイム性をもたらしているのは、まずプッシュ通知の機能だ。これにより、新規メッセージの到着をリアルタイムに相手に知らせることが可能だ。メールの場合、基本的にプッシュ通知はできないため、自分が送ったメールをいつ読んでもらえるかは相手の都合次第。このため、スピーディなレスポンスはあまり期待できない。

メールと違って、かしこまった文章を書く必要がないことも、チャットのリアルタイム性を高めている理由の1つだ。

メール文化の特徴は、「お疲れさまです」や「大変お世話になっています」など、本題の用件以外にも、いろいろと書く必要があること。一方、チャット文化は、カジュアルさが大きな特色だ。用件だけを端的に書けばいいので、互いのレスポンスも必然的に早くなる。このため、移動中や会議中などでも手軽にレスポンスでき、いつでもどこでもリアルタイム性の高いコミュニケーションを実現できる。

次のプレゼンスの把握とは、相手の状況が分かることだ。例えば、LINEであれば、既読/未読表示によって、相手がメッセージを読んだかどうかを知ることができる。さらに「在席中」「離席中」「スマートフォンでログイン中」といったステータスを把握できるチャットもある。

メールの場合、メッセージを送っても、相手が読んだかどうかは通常分からない。また、電話は、実際に掛けてみるまで相手とコミュニケーションできるか分からない。これに対して、チャットの場合、相手の状況を把握できるから、その反応を見ながら効率的にコミュニケーションできるわけだ。

なお、LINEでは「既読スルー」という言葉も生まれたが、こうしたプレゼンスの把握機能には、コミュニケーションを強制感や義務感を与える側面もある。このため、あえて既読機能などを搭載しないビジネスチャットも少なくない。

LINEの既読機能
LINEの既読機能。相手がメッセージを閲覧すると、「既読」と表示される

3つめのグループコミュニケーションも、非常に重要なポイントである。

相手が電話で会話できる状態にあるという前提条件付きであれば、電話のほうがリアルタイム性は優れているかもしれない。

しかし、電話は基本的には1対1のコミュニケーションである。複数の人に業務連絡したり、複数の人と情報交換したい場合には適していない。全員にいちいち電話しなければならなくなる。

一方、チャットには、グループチャットという複数の人と同時にチャットできる機能が用意されており、グループでのコミュニケーションをスムーズに行うことができる。部署やプロジェクト毎などにグループ(ルーム)を作成し、その中で業務連絡や情報共有を行うようにすれば、いちいち関係者が集まったり、個別に電話連絡しなくても、スピーディに目的を達成できる。

メールも複数人とのコミュニケーションツールとして使えるが、リアルタイム性やプレゼンスの把握の機能がないのが、決定的な違いだ。つまり、スピード感のある複数人でのコミュニケーションには向いていない。

幅広い業種・業態で導入進むビジネスチャットチャットがコミュニケーションのスピード化に大きく貢献した事例の1つとして、NTTソフトウェア ビジネスソリューション事業部 第二カンパニー 主任エンジニアの林田剛太郎氏は、ある大手ゼネコンのケースを挙げる。

地震などが発生した際は、管理しているビルの状況確認を行うが、従来の電話やメールによる確認では、すべてのビルの状況を把握できるまで、1日以上かかることもあったという。しかし、NTTソフトウェアのビジネスチャット「TopicRoom」の導入後に発生した地震では、「グループチャットを活用することで、約2時間半で状況確認が完了した」(林田氏)という。

なお、これは災害時という少し特殊なケースだが、チャットは特定の業種・業態で効果を発揮するようなコミュニケーションツールではない。ITやコールセンター、建設、介護、ゲームなど、特にチャットの活用が進んでいる業界はあるものの、「あらゆる業種・業態で、チャットは有効」というのが、多くのビジネスチャットベンダーの意見だ。

メールと電話を社内で使っていない企業は、ほぼないだろう。同じようにチャットも高い汎用性を持ったコミュニケーションツールであり、業種・業態に関わらず、高い導入効果が期待できる。

図表 ビジネスチャットの導入事例(ビジネスチャットベンダー各社のWebサイト等から)

導入企業・団体名 業種・導入部署 事例URL
アシュリオン・ジャパン コールセンター業務 https://www.ntts.co.jp/case/asurion/index.html
大成建設 建設 https://messenger.lakeel.com/case/
甲府市医師会 医療・介護 https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/4050/Default.aspx
コクヨファニチャー オフィス家具 https://www.ntts.co.jp/case/kokuyo-f/index.html
ドン・キホーテ 小売 https://direct4b.com/ja/voice_detail1.html
ネットプロテクションズ 決済サービス http://www.worksap.co.jp/messenger/
ランサーズ IT関連 http://www.chatwork.com/ja/case/lancers.html
豊島 繊維 http://www.worksap.co.jp/messenger/
楓工務店 建設 http://www.chatwork.com/ja/case/kaede.html
メディアドゥ 電子書籍 https://direct4b.com/ja/voice_detail2.html
オルトプラス ゲーム https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/3527/Default.aspx
中央会計 会計事務所 https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/2566/Default.aspx

なお、メールとチャットの使い分けについてだが、社外連絡はメール、社内連絡はチャットと使い分けている企業が多数派だ。チャットの導入後、社内でのやりとりは、ほとんどチャットになっている企業が多い。ただ、社外とのやりとりは引き続きメールがメインとなるため、チャット導入によりメールが不要になるということはない。

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