KDDIが昨年来、一貫して掲げてきた「3M戦略」がいよいよ本格始動する。KDDIは2012年1月16日、3M戦略の第1弾となる「スマートパスポート構想」を発表。これとあわせて「au」のブランドマークの刷新も行い、「新生au」のスタートを強くアピールした。
田中孝司社長とauの新しいブランドマーク。そして新生auのスローガンは「あたらしい自由。」だ |
3M戦略の3Mとは「マルチデバイス」「マルチネットワーク」「マルチユース」の3つの頭文字。様々なコンテンツやサービスを、いつでもどこでも、最適なネットワークやデバイスで使える環境を提供していこうというものだが、その第1弾であるスマートパスポート構想について田中孝司社長は「オープンインターネットの世界に安心して漕ぎ出すためのパスポート」と説明した。
これがスマートパスポート構想の骨子 |
スマートパスポート構想は、具体的には3つのキーファクターから構成される。1つめは、田中氏が「3M戦略のなかで一番重要なサービス」と語る「auスマートパス」だ。
急速に普及するスマートフォンだが、「探しているアプリが見つからない」「アプリの価格が高い」「セキュリティが不安」など、ユーザーサイドからするとまだまだ課題や不満も少なくない。こうした問題に対して「ユーザー任せでは無責任ではないか」(専務の高橋誠氏)と、auスマートパスでは(1)500本以上のアプリ取り放題、(2)クーポン&ポイントサービス、(3)10GBのクラウドストレージ、(4)安心・安全サービスを月額390円でパッケージ提供する。
最も注目されそうなのは、(1)のアプリ取り放題だろう。auスマートパスに加入すると、「パワフルプロ野球」「モンスターハンター」「RODGE RACER」「大辞林」「ジーニアス英和辞典・和英辞典」など、総額5万円以上のアプリがダウンロードし放題になる。また、(4)の安心・安全サービスは、トレンドマイクロのセキュリティ対策ソフト「ウィルスバスター モバイル for auスマートパス」のアンチウィルス機能と、auスマートパス専用のサポート窓口で構成される。
取り放題のアプリの中には2500円の「大辞林」、4800円の「ジーニアス英和・和英」といった高額アプリも |
3月1日のサービス開始時点では、auスマートパスはAndroidスマートフォンのみへの対応だが、高橋氏によると今後、他のスマートフォンOSやタブレット、PC、STBなどにも提供範囲を広げていく考えだという。
このauスマートパスは他キャリアとの差別化のほか、「付加価値ARPUを上げていくための起点」(経営管理本部 IR室長の明田健司氏)という戦略的役割も担うものだ。付加価値ARPUとは、コンテンツARPUやコンテンツプロバイダーなどから得る決済代行手数料のこと。auスマートパスをきっかけに、「LISMO unlimited」などの本格的なコンテンツサービスの利用を促し、付加価値ARPUの拡大を図っていく。なお、KDDIでは来期販売するAndroidの80%のユーザーがauスマートパスに加入するとの社内計画を立てているという。