「第4コーナーを回ってホームストレートに入った」――。新潟大学の佐々木重信教授は、TVホワイトスペースを活用する無線ブロードバンド規格IEEE802.22について、標準化作業は最終段階を迎えており今年6月ごろに完了する見込みだと解説する。また、この802.22は固定機器向けだが、ポータブル機器向けのIEEE802.11afの標準化も急ピッチで進んでいるとのことだ。
TVホワイトスペースとは、テレビ用に割り当てられているが、地域・時間帯によって利用されていない周波数のことである。米国では2008年11月、FCC(連邦通信委員会)が免許不要のアンライセンスバンドとして開放することを決定し、大きな話題を呼んだ。日本の総務省も昨年夏に「ホワイトスペース特区」を創設し、技術・ビジネスモデル・制度面の検証を始めている。
現状、日本でTVホワイトスペースというと、エリアワンセグばかりに期待が集中しているが、米国はまったく異なる。FCCのジェナカウスキー委員長がTVホワイトスペースの最初のメジャーアプリケーションとするのは「スーパーWi-Fi」だ。
同委員長曰く、スーパーWi-Fiとは「Wi-Fiよりも長い通信距離、より速いスピード、より信頼性の高い接続性」を持つ。テレビ用のUHF帯は、Wi-Fi用の2.4GHz帯などと比べると非常に伝播特性に優れた周波数帯だ。この優良帯域を使って、免許不要のワイヤレスインターネットを実現しようというのが米国の戦略なのである。
図表1 IEEE802.22およびIEEE802.11afの概要 |