NTTと東大が金属元素なし電子回路を開発、使い捨て無線タグ・センサー実現へ

NTTと東京大学大学院新領域創成科学研究科は2024年3月28日、金属元素をまったく含まず、すべてがカーボン系の材料から成る相補型集積回路を開発したと発表した。この集積回路で構成されたアナログ・デジタル回路は室温大気下で安定に動作し、4-bit信号の出力デバイスとして動作させることに成功した。

カーボン系材料のみで構成された相補型アナログ・デジタル回路のイメージ図

カーボン系材料のみで構成された相補型アナログ・デジタル回路のイメージ図

使用済みの電子デバイスに起因する電子ゴミの増加が世界的な問題となっている。これらの電子ゴミには重金属(鉛、水銀、カドミウムなど)や臭化物難燃材といった有害物質を含むものが多い上に、金や銀やプラチナなどの希少元素も含まれており、有効な処理・リサイクルが必要だ。

この問題の解決に向けて、東京大学大学院新領域創成科学研究科とNTTの研究グループは2022年、有害物質を含まない電池と電子回路についての報告を行い、今回さらに、金属元素を含まずカーボン系材料のみで構成した電子回路を開発した。東京大学がカーボン系材料のみで構成した有機トランジスタやその相補型集積回路の作製技術を確立。実働回路の製作には、NTTが有機トランジスタ向けに開発したプロセス依存性の少ない通信用回路構成技術を適用した。

本研究成果により、金属をまったく含まない電子デバイスのコンセプトを実証。今後は、さらなる材料検討やトランジスタの集積度と微細化度の向上を進めるとしている。それらにより、リサイクル不要で使い捨てできる無線通信が可能な電子タグやセンサデバイスの実現および、そのデバイスを活用した新しいサービス展開が期待されるとしている。

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