「複合機+クラウド」でワークスタイル変革を提案 ―― シャープがドキュメント事業で新戦略

シャープがデジタルカラー複合機の新製品と合わせて、ビジネス向けクラウドサービスを提供する考えを明らかにした。2011年春に、複合機やスマートフォン、GALAPAGOSなど多彩な端末から電子文書を共有できるサービスを提供開始。豊富なハードとクラウドサービスを武器にワークスタイル変革を提案する。

「オフィスにある事務機の方向性は、どうあるべきか」――。

シャープは2010年11月22日、デジタル複合機の新製品発表と合わせてドキュメント事業戦略についての説明会を開催した。デジタルフルカラー複合機やプリンターなど8モデルの新製品を11月下旬から順次発売すると発表。また2011年春には、複合機やプリンターなどと連携する法人向けの新たなクラウドサービスの提供も開始する。ビジネスソリューション事業統轄兼ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一執行役員は、ハードとサービスの両方を組み合わせることで「新しいワークスタイルを提案していきたい」と語った。

ビジネスソリューション事業統轄兼ドキュメントソリューション事業本部長の中山藤一執行役員 10.1インチの大型操作パネルを搭載した機種など8モデルを発表

「デジタル複合機をクラウドポータルに」

来春に提供開始を予定する新クラウドサービスとは、場所や機器に依存せずにどこからでも社内情報にアクセスできる、いわゆる「ユビキタス」なオフィス環境を実現するためのものになるという。紙文書を複合機などで電子化し、ネットワーク経由でアクセス可能にするドキュメント電子化ソリューションはすでにポピュラーなものとなったが、この電子文書を格納し、ネットワークを介してどこからでもアクセス可能にするストレージサービス「Data Cabinet Online」を提供する計画だ。

中山氏が強調するキーポイントは、2つ。

1つ目は、PCのほか、携帯電話やスマートフォン、iPadなどのタブレットPC、電子黒板、さらには12月に発売予定の電子書籍端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」などの多彩な端末と連携して、場所に捕らわれないワークスタイルを提案できる点だ。デジタル複合機からも、直接Data Cabinet Onlineにアクセスできる。スキャンしたデータのアップロードや、クラウド上の“Cabinet”から印刷データをダウンロードするといった作業も、複合機の操作パネルから直接行える。外出中あるいは在宅勤務の社員ともスムーズに情報共有が行える環境を提供するとともに、「デジタル複合機をクラウドサービスを使うためのポータルにする」(中山氏)考えだ。

複合機、PC、スマートフォン、電子書籍端末などと連携するクラウドサービスを提供し、場所に囚われないワークスタイルを提案する

説明会では、実際に複数の機器が連携するデモも展示された。下の写真は、複合機で紙文書を読み取ってクラウド上に保存されたデータを、電子黒板に表示して会議を行う場合を想定したものだ。電子黒板上では表示した文書への書き込みなどももちろん可能で、会議終了後は書き込んだ内容と合わせて、再度クラウド上に保存できる。GALAPAGOSやスマートフォンなどからData Cabinet Onlineにアクセスすれば、いつでも改めて閲覧できる。

(左)紙文書を複合機でスキャニングし、直接クラウド上のストレージにアップロードできる。(右)電子化した文書は、PCのほか、電子黒板などにも表示できる。書き込みを行った後、そのデータを改めてクラウド上に保存することも可能だ。
スマートフォンや、12月発売の電子書籍端末「GALAPAGOS」などからも電子文書にアクセス可能。ハードとサービスを組み合わせて、場所に囚われないワークスタイルを提案する

もう1点、中山氏が強調するのが、全国で1万5000店舗以上のコンビニに導入されているというシャープ製複合機との連携だ。「コンビニ複合機でシェアNo.1という当社の強みを活かしたい」とし、例えば外出中の社員がコンビニの複合機からクラウドサービスにアクセスして社内文書を印刷するといった使い方を提案していきたいという。

また、シャープは従来から、同社の複合機と連携するアプリケーションを開発するためのAPIの公開、開発キットの提供を行って来ており、これを活用して、パートナー企業が複合機連携アプリケーションを提供している。「これまではイントラネット上のアプリケーション、ソリューションに限られていたが、今後は我々のプラットフォーム上でパートナーがクラウドサービスを提供できるようになる」(中山氏)と、ビジネス向けサービスを提供するプラットフォーム事業の展開にも期待を見せた。

フリック操作も可能な大型液晶を搭載

クラウドサービスとの連携のほか、10.1インチ大型カラー液晶を搭載する新製品3モデルでは、操作パネルのインターフェースも改善された。操作に応じて最適なメニューを表示する「アクションパネル」によりユーザーを補助することで、操作や設定のミスを軽減する。

また、読み取った原稿や、印刷したい原稿の出力イメージをパネル上で詳細に確認できる「アドバンスドプレビュー機能」を初搭載した。各ページの詳細を確認する「平面モード」と、文書の全体像を確認する「サムネイル」、両面印刷の方向などを確認できる「立体モード」、ページの削除や回転を指示できる「編集モード」を切り替えて使用できる。フリック操作にも対応しており、より直感的な操作が可能になっている。

操作パネルのインターフェースも改善。iPhoneやiPadでお馴染みのフリック操作にも対応する

A3サイズ対応で、10.1インチ大型カラー液晶を搭載したデジタルフルカラー複合機3モデル「MX-2610FN」「MX-3110FN」「MX-3610FN」は、12月16日から販売を開始する。また、これに先駆けて11月29日には、A4サイズ対応のデジタルフルカラー複合機「MX-C312SC」と、モノクロ複合機2モデル、プリンター2機種も発売する。新機種の概要と希望小売価格は、下表の通り。

図表 複合機・プリンター新製品の一覧

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