「100GbEを現実的な価格で」――米ブロケード ケン・チェン氏インタビュー

ブロケードが100GbE対応コアルーター「MLXe」を発表した。シャーシ当たり32個の100GbEを搭載できるポート密度の高さと「他社の8分の1」という低コストを武器に、先頭に立って100GbE市場を切り拓いていく戦略だという。

――100GbE対応ルーターを国内で9月28日に発表しました。いよいよサービスプロバイダーのネットワークは、100GbEの時代に突入しますか。

チェン 今回新たに発表したのは、既存シャーシの拡張版「MLXe」と100GbEモジュールです。MLXeは1シャーシ当たり32個の100GbEワイヤスピードポートを実装可能で、100GbEのポート密度は競合他社の4倍です。また、100GbEモジュールの価格は他社の8分の1となっており、「この価格なら100GbEを導入したい」という層が必ずあると思っています。

例えば米国のある事業者ではワシントンとニューヨーク間は48以上の10GbEポートで接続されています。これだけ多くの10GbEリンクがあると管理が非常に複雑ですし、必要な光ファイバーも膨大です。しかし100GbEに移行すれば5ポートで済むため、運用コストは下がりファイバーも節約できます。実際、日本のサービスプロバイダーの方に紹介すると「検討してみたい」ではなく、「いつから導入できるか」という反応が返ってきます。2011年はまだまだ早期導入のレベルでしょうが、2012年には大規模導入も始まると考えています。

Brocade MLXe MLXコアルーターシリーズのハイエンドモデル「Brocade MLXe」。4/8/16/32スロットの4モデルを用意する。シャーシバックプレーン容量は15.36Tbpsで、最大32個の100GbEワイヤスピードポートに対応する。また、Sync Ethernetをサポートし、VoIPにも対応できる。100GbEモジュールは2011年上半期から提供開始の予定

低コスト実現する3つの理由

――競合他社の8分の1の価格とはずいぶん安いですが。

チェン 理由は3つあります。まずは他社があえて高い価格を設定していることです。100GbEを発表済みのベンダーはブロケードのほかに3社しかありません。そのため競争が働いていないことが原因です。一方、ブロケードは、魅力的な価格設定をすることで、100GbEの導入を促進していく戦略を採っています。

2つめはタイム・トゥ・マーケットです。開発期間の長さをアピールするベンダーがいますが、例えば開発に5年かけるということは、5年前のテクノロジーがベースになっていることを意味します。我々は2年半での新製品開発を実現しています。

最後は財務的な理由です。ブロケードの従業員数は全世界で5000人弱で、何万人もいる最大手ベンダーと比べると間接費などがわずかで済みます。もちろん高い市場シェアを持つ彼らは規模の経済の点で有利ですが、そのメリットだけではこの間接費をカバーし切れないため、どうしても製品コストに上乗せする必要があるのです。

――サービスプロバイダーは、より低コストにトラフィック急増に対応する必要に迫られていますから、価格は今後ますます重要になります。

チェン 収益性が最も高いVPNのトラフィックはほとんど増えておらず、大きく伸びているのはコモディティ化したインターネットのトラフィックです。米国では1998年には1Mbps当たり1200ドルを請求できましたが、2003年には120ドルに落ち込みました。2014年には1ドル20セントになるといわれています。従来と同じ投資の仕方では、収益とトラフィックのこのギャップは埋められません。

他社の製品は信じられないくらい高いうえ、私たちの製品はポート密度や容量でも優れていますから、100GbEのマーケットを独占できるチャンスもあると感じています。

月刊テレコミュニケーション2010年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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