中古ネットワーク機器が今話題に――人気の理由は「安さ」だけじゃない!

「新品が当たり前」――。企業ネットワーク市場に根強い“常識”も早晩、時代遅れになるかもしれない。日本で今、中古ネットワーク機器市場が育ち始めている。

「中古ネットワーク機器を取り扱うことで、お客様に新たな選択肢を提供できる」

企業ネットワーク設計・構築などを手掛ける日永インターナショナル(以下「日永」)のプロジェクト本部本部長代理・IPシステム部部長の小林達氏はそう語る。同社は5月から「シスコ認定再生品」の取り扱いを始めた。

日永インターナショナルが2009年6月から運営するシスコ製品販売サイト「日永堂」。シスコ認定再生品の認知度向上のために、トップページバナーなどで、そのメリットをアピールしている
日永インターナショナルが2009年6月から運営するシスコ製品販売サイト「日永堂」(http://www.nichieido.jp/)。シスコ認定再生品の認知度向上のために、トップページバナーなどで、そのメリットをアピールしている

シスコ認定再生品とは、Refurbish(磨き直した)品とも呼ばれ、シスコシステムズが回収した中古機器を専用工場で分解・整備・清掃して販売する製品のこと。いわば「シスコお墨付きの中古品」だ。新品に比べて価格が割安なだけでなく、新品と同様の保証が受けられる。シスコの保守サービスへの加入も可能だ。また、在庫が潤沢なのも利点で、受発注製品の納品までに1~2カ月かかる新品に比べて迅速に入手できる。

ルーター・スイッチだけでなく、無線LANやVoIP関連製品、モジュールまでシスコのほぼすべての製品について認定再生品が存在し、すでに生産・販売が終了(EoS)した製品でも、保証・保守付きで購入できる。その品目は2500種以上にも及ぶといい、米国では認知度も高く、企業ネットワークにも新品と同様に活用されている。

国内では正式販売が始まったばかり。小林氏は「おそらく当社が一番乗り」といい、現時点で取扱業者は数社に過ぎないが、「頻繁に問い合わせがあり、納期等に問題があるケースで再生品を提案する場合にも、非常に良い反応をいただいている」という。まずは好調なスタートを切っているようだ。

保証・保守付きで中古を販売

一般的に、中古機器は保証や保守サービスが受けられないため、企業で使われることは稀だ。教育・検証用途を除けば、「中古を使う」という発想そのものが国内企業では極めて珍しい。

だが、その流れも今後は変わるかもしれない。シスコが認定再生品の国内流通を本格的にスタートさせ、幅広いニーズに応えようとする一方で、潤沢に流通する中古品を活用して新たな取り組みを始めるNIerも登場している。

アイエスエフネット(以下、「ISFネット」)は6月、オンサイト保守サービスを付加した中古ネットワーク製品の販売を正式スタートした。

動作検証を行った機器に独自の1年保証を付けて販売。ユーザーの要望に応じて24時間365日のオンサイト保守も提供する。同社は1200名余のエンジニアを抱え、全国規模でICTインフラの構築、運用・保守サービスを展開。このサポート網を背景に、低価格かつ短納期で導入でき、さらにEoS製品も利用できる中古機器のメリットを活かすのが狙いだ。SMS本部本部長代行兼営業本部市場開発第一部部長の河村宣明氏は、「新品だけではお客様の要望に応えきれない」と話す。

ISFネットでは従来から、新品では納期に間に合わないケースや、EoS製品が必要な場合に中古を活用してきた。「中古機器への要望が増え、またコスト削減や、使えるものは最後までしっかり使うというエコの意識も高まっている」(同氏)ことから、中古ネットワーク機器の販売・保守サービス提供を本格化することとした。8月からは、サーバーやPCでも同様のサービスを開始する。

月刊テレコミュニケーション2010年9月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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