ソフトバンクの孫正義社長は2010年10月25日、2015年までに全世帯でブロードバンドサービスを利用できるようにする政府の「光の道」構想の実現に向け、「共同出資によるアクセス回線会社設立」を提案した。この提案は同日、片山善博総務大臣にも報告したという。
提案内容は、NTT東日本/西日本が保有する光アクセス回線をNTTから完全に切り離し、政府と出資を希望する通信事業者が光アクセス回線新会社に共同出資をするというもの。新会社の株主構成の例として、国が政府保有のNTT株を現物出資で2000億円、NTT、KDDI、ソフトバンクの主要通信3社が1000億円ずつ出資する案を披露した。
構造分離案 (クリックで拡大) | アクセス回線会社の株主構成案 (クリックで拡大) |
孫社長は、これまでのNTT東西のアクセス回線を別会社として切り離す提案から、出資にまでもう一歩踏み込んだ理由として、「“ソフトバンクは(NTTの光アクセス回線に)タダ乗りしたいだけではないか”という一部の声が私の心に突き刺さっている。決してそうではないと主張したい」と語り、「たとえ国もNTTもKDDIも参画しなかったとしても、ソフトバンク1社だけでも5000億円を全額出資し、さらにNTT東西の負債の半分である1兆円も弁済する覚悟がある」と強調した。
「光BBを月額1150円で提供する」
ソフトバンクは従来から、「税金を一切を使わずに月額1400円で光アクセスサービスを提供でき、アクセス回線会社も黒字になる」という試算を主張しており、これに対してNTTが9月1日に「月額1400円での提供は不可能」という反論を出している。
孫社長は、「具体的に数値で反論していただいたので、一歩議論が進んだ」と歓迎。「NTTが出した情報を基に再度試算をやり直した」という。その結果、アクセス回線会社の営業利益が当初試算の3500億円から2300億円に減るなどしたが、「光100%を税金ゼロで実現し、光回線料金もメタルと同額の月額1400円で提供できるという結論は変わらなかった。むしろ、より自信を持って主張できるようになった」と語った。そのうえで、今回提案したアクセス回線会社が実現した場合、電話基本料月額1700円(光回線1400円+電話300円)にプラスし、「ソフトバンクは光ブロードバンドサービスを月額1150円で提供することをコミットしたい」と強調した。
NTTの指摘事項と試算上の扱い (クリックで拡大) | 試算更新結果 (クリックで拡大) | アクセス回線会社が実現した場合の料金イメージ (クリックで拡大) |