「ビジネスコミュニケーション東京2010」(BCT2010)で2010年10月14日、NTT持ち株・研究企画部門プロデューサの越智剛氏が「NTTのクラウド戦略とクラウドサービスの紹介」と題した特別講演を行った。
越智氏によると、NTTではブロードバンド活用サービスの3本柱として「映像」「クラウド」「ホームICT」の3つを考えており、なかでも中核的な位置づけとなっているのがクラウドだという。
越智氏が企業経営におけるクラウドの役割として指摘したのは次の2つだ。まずは「コスト削減/生産性向上」という課題の解決。クラウドにより企業のICTリソースの在り方が「所有」から「利用」へと変わることで、TCOを削減できるとした。もう1つは、「新事業展開/海外進出」という課題の解決である。クラウドを利用すれば、柔軟・迅速に経営戦略の実行でき、「まだ確実性のない分野についてもスモールスタートで始められる」と説明した。
企業経営におけるクラウドの役割 |
このように語ったうえで越智氏はNTTグループの目指すクラウドについて、(1)アプリケーションからネットワーク、端末までのエンド・トゥ・エンドのトータルサービス、(2)「オープン&コラボレーションによる高信頼、(3)シームレスでクラウドに適したネットワークの3つの特徴を挙げた。シームレスなネットワークに関しては、「仮想ネットワーク」という仕組みにより、NGN、LTEなどのNTTグループのネットワークはもちろんのこと、他社ネットワークまで含めて連携可能にしていく考えだという。
NTTグループの目指すクラウド |
続いて越智氏は、NTTグループ各社の事例やサービスを紹介。特にNTT東日本が展開している「光ソフトタウン」について熱を込めて説明した。NTTグループにおいてNTT東日本は、中小企業およびマスユーザーを担当しているが、この光ソフトタウンは中小企業やSOHOなどをターゲットとしたSaaSである。OBCの奉行シリーズをはじめ、業務ソフトからグラフィックソフト、統合オフィスソフトなど、数多くのアプリを光ソフトタウンでは取り揃えている。
通常のSaaSのようにWebアプリではない点も光ソフトタウンの大きな特徴だ。マイクロソフトのアプリ仮想化技術「App-V」を活用し、NTT東日本のサーバー上に置かれたソフトをストリーミング配信するという形になっている。そのため、SaaSにもかかわらず、操作性はWindowsアプリそのままである。
NTT東日本が考えるSaaSのコンセプト |
NTT東日本では、中小企業の多くがWebアプリではなくスタンドアロン型のWindowsアプリを使っていること、ソフトウェア会社が既存アプリをWebアプリ化するためには莫大なコストや時間がかかることなどから、このような方式を選んだという。
光ソフトタウンの詳細は、BCT2010のNTT東日本ブースで見ることが可能だ |