イー・モバイルが900MHz帯獲得の意思表明、2012年の利用開始を目指す

イー・モバイルは2010年10月7日、「次期周波数政策に対する当社意見」と題した報道関係者向けの説明会を開催、総務省が割り当てを検討している900MHz帯を「最も戦略的な価値あるバンド」(千本倖生会長)として割当を強く希望していく意向を表明した。

イー・モバイルは、1.7GHz帯に15MHz幅(上り下りの片方向、以下同)の割当を受けているが、(1)伝播特性がよく、効率的なエリア展開が可能な1GHz帯以下の「プレミアムバンド」、(2)国際調和(ハーモナイズ)が図られ、端末の調達や国際ローミングに有利な2GHz帯(IMTコアバンド)は割り当てられていない。

そこで、イコールフッティングを確保する観点から「第2のIMTコアバンド」として注目されているプレミアムバンド、900MHz帯の割り当てを総務省に求める方針を固めた。

現在総務省のワーキンググループでは、当初の700/900MHz帯の割当プランを変更し、700MHz帯、900MHz帯それぞれに国際的な周波数プランとハーモナイズしたペアバンドを設けることが検討されている。イー・モバイルの意向表明はこれを受けたもの。

700MHz帯ではなく900MHz帯を希望するのは、「トラフィックの増加に対処するために2~3年後には新たな周波数の割当が必要となることが見込まれており、2012年から2013年にまず5MHz幅が運用が可能となり、最終的に15MHz幅が使える900MHz帯を最優先とした」(エリック・ガン社長)ためだという。加えて、900MHz帯はすでに欧州、アジア、アフリカ、オセアニアなどで3Gの運用が始まっており、スマートフォンの調達などで有利と判断した。

900MHz帯についてはすでにソフトバンクモバイルが獲得の意向を表明しており、この2社が割当を競う可能性が高い。

900MHz帯の割当枠が何社になるかは不明だが、ガン社長は「15MHz幅を取れればベストだが、5MHz幅でも取得する価値はある」として複数枠でも獲得を目指す考えを示した。また900MHz帯の取得にあたっては、スマートフォンによる音声通信のニーズに応えるため99%に近いサービスエリアを構築する意向であることも明らかにした。

なお、700MHz帯、900MHz帯の割当では周波数オークションの導入が見込まれているが、ガン社長は「既存事業者とのイーコールフッティングが確保されていない状況でのオークション導入には問題が多い」という見方を示した。

また、説明会では、2012年~2013年に1.7GHz帯にMIMOを導入して84bpsの高速データ通信を実現、新たに取得した帯域にLTEを導入することで100Mbps超の通信速度を目指す計画も明らかにされた。

新帯域の獲得でLTEによる100Mbps超のデータ通信を実現するプランを説明するエリック・ガン社長
新帯域の獲得でLTEによる100Mbps超のデータ通信を実現するプランを説明するエリック・ガン社長

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