今や多くの場所にWi-Fi環境が整備されている。電車も例外ではないが、現在は車両にLTE端末を搭載し、乗客向けに公衆Wi-Fiサービスを提供しているのが通常だ。
しかし海外では最近、セルラーの代わりに、線路沿いに自営のWi-Fi基地局を設置するケースが出てきているそうだ。
「中国ではモノレールでの導入事例があるほか、ロシアの地下鉄は全面的に採用している」。こう話すのは、エイチ・シー・ネットワークスの説明員。中国のモノレールやロシアの地下鉄で採用されているのは、同社が取り扱うRADWIN社製の長距離無線LANソリューション「FiberinMotion」だ。
FiberinMotionの基地局と移動局
FiberinMotionの特徴は、「50ms未満」(説明員)という高速ハンドオーバー機能と時速350kmの高速移動への対応にある。このため、高速移動中もシームレスにWi-Fiを利用できる。
セルラーの代わりにFiberinMotionを採用する最大のメリットは「ランニングコスト」(説明員)だ。例えば新幹線の場合、各車両がセルラー契約しているというが、そうしたランニングコストを削減できる。
もちろんFiberinMotionを導入するための初期コストは必要になるが、1つの基地局で数kmをカバーすることが可能だという。1基地局当たりの最大通信容量は350Mbpsで、公衆Wi-Fiのほか、監視カメラの伝送などにも活用できる。交通機関のネットワーク化、IoT化の1つの手段として、今後注目が高まりそうだ。
FiberinMotionの主な特徴