企業ネットワーク最前線

日本がIoTで挽回するための5方策――ボーダフォンが世界規模のIoT調査

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2018.02.07

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ボーダフォン 阿久津茂郎氏

ボーダフォンが世界13カ国で実施した調査では、IoTを導入している企業の割合は29%に達している。「IoTをやらなければ自社のビジネスが危機にさらされる」ためだ。一方、日本企業の動きはやや鈍いのが実情だ。日本企業がIoT導入で世界に取り残されないためには、5つの重要なポイントがあるとボーダフォンの阿久津氏は指摘する。

 
「グローバル市場でのIoT導入が急速に広がってきている。このままでは日本は取り残されてしまう」

グローバル通信会社のボーダフォン・グローバル・エンタープライズでloTジャパン カントリーマネージャーを務める阿久津茂郎氏は、同社が11月に発表した「2017-2018年度版 IoT普及状況調査レポート」の数値を示し、こう警鐘を鳴らす。このレポートは世界各国の多様な業種・規模の企業の意思決定者(今回は13カ国1278人)にIoTへの取り組み状況をインタビューしたもので、2013年から毎年行われている。

阿久津氏が注目するのが、調査対象の企業の中で実際にIoTを導入している会社の割合が2013年の12%から17年には29%と、5年で2倍超に伸びた点だ。また、導入企業の67%が「IoTをやらなければ自社のビジネスが危機にさらされる」、85%が「ビジネスの成功にはIoTが不可欠だ」と回答した点も重要だという。

日本でもIoTを導入しようとする企業は増えているが、マーケティング会社の調査でもここまでの勢いは見られない。日本企業と日々接している阿久津氏も「自らのビジネスのどの部分にIoTを結びつけて事業を展開していくかというビジョンを持たれている会社は、決して多くない」と語る。

セキュリティは“走りながら”日本企業の動きが、やや鈍い理由の1つに「セキュリティに対して非常にセンシティブ」な点があるという。

グローバルでも、セキュリティをIoT導入の懸念事項と見る企業が18%を占めるが、他の項目に比べて突出している訳ではない。さらに、デバイス1万台以上の規模でIoTを導入している企業(導入企業の12%)に限ればこの数値は7%となり、「セキュリティは特に大きな懸念材料ではなくなる」。さらに、これらの企業の66%超がIoTで顕著な費用対効果が得られたと回答している。多くの企業が、セキュリティを障壁と捉えるのではなく、まさに“走りながら”セキュリティに対応してIoTビジネスを成功させているのだ。

「100%のセキュリティが確保できなければ導入できないという考え方では、グローバルとの差は開くばかり」と阿久津氏は指摘する。「特に日本ではパートナー企業のセキュリティソリューションをうまく活用していくことが重要になる」という。

 

図表 IoT導入に伴う懸念事項(全体、世界市場)
図表 IoT導入に伴う懸念事項(全体、世界市場)


ボーダフォンでは、エンド・エンドの閉域接続の提供や、SIMの接続先を定するなどの手法で高セキュリティを確保している。日本でもこれを活用して、ヤマハが2輪車の盗難対策、栗田工業が水プラントの遠隔管理を実現するなど先進事例が出てきている。

その上で阿久津氏は、日本企業がIoT導入で世界に取り残されないためには、①経営者がIoT導入にコミットし迅速な判断を下すこと、②プロジェクトを推進するための社内体制の整備、③IoTで解決したいビジネス課題の見極め、④グローバルを意識した目標設定、⑤明確なコンセプトを持ったPoC(概念実証)の実施の5つが重要になると指摘する。「日本のIoTが海外に追いつくためのステップを提案していきたい」と阿久津氏は意欲を示した。

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