KDDIとJR東日本、28GHz帯の「5G」でVR中継――ビームフォーミングで5G端末をトラッキング

KDDIは2018年1月25日~27日までの3日間、東京の上野駅と宮城県の南三陸町をリアルタイムで接続する現地体感イベントを開催している。「南三陸さんさん商店街」にある360度カメラの映像を5Gで送信し、上野駅ではその映像を専用VRゴーグルで見ることで、遠く離れた南三陸さんさん商店街でのショッピングを疑似体験できる。

KDDIはJR東日本の協力のもと、2018年1月25日~27日の期間中、「南三陸さんさん商店街へ瞬間移動。au 5G で現地体験イベント」を上野駅で開催している。

遠隔地と のリアルタイムな相互コミュニケーションに5Gを使う

体験イベントのために、KDDIは宮城県の南三陸町にある「南三陸さんさん商店街」に5G(第5世代移動通信システム)の基地局を設置。商店街では現地ガイドが待機しており、そのガイドが持っている360度カメラで撮影した映像を5Gで送信する。上野駅にある専用VRゴーグルを装着した体験者は、5Gで送られてくる360度カメラの映像を見ながら、商店街の人々と相互コミュニケーションし、ショッピングを疑似体験できる。


記者向け説明会では、モデル女性が専用VRゴーグルを装着して実演した。後ろの画面に映っている商店街の男性と会話しながらショッピングを疑似体験している。写真は2人が挨拶しているシーン

28GHz帯の工夫は「ビームフォーミング&トラッキング」2020年のサービス開始が期待されている5Gだが、今回の体験イベントでは28GHz帯を用いて5G環境をを構築している。

「28GHz帯は、いままでの4Gで利用している周波数より1ケタ高い周波数になる。周波数は高いと直進性が強く、減衰は多くなるため、電波が遠くまで届きにくい。サービスを提供するには工夫が必要になる」と、KDDIの松永彰氏は述べる。

東日本旅客鉄道 IT・Suica事業本部 課長 高島昭治氏(左)とKDDI モバイル技術本部 シニアディレクター 松永彰氏(右)が、体験イベントの記者向け説明で登壇した

その工夫は「ビームフォーミング」である。松永氏は“水まき”を例にビームフォーミングを説明する。

「電波を届けるのを、水をまくのと同じような状況と考えればいい。例えば4Gであれば、スプリンクラーを使って広い範囲に水をまけるが、5Gでは難しい。そこでホースを使って、しかもそのホースの先を絞って勢いを増して遠くへ届ける。そのかわり水(電波)は非常に細くなっているので、正確に届けるには相手を狙わないといけない」

28GHz帯での通信を実現するため、ビームフォーミングで電波を絞って遠くまで届ける

そして、「ホースの先を細めるようなことをビームフォーミングと言い、正確にフォーミングした電波を相手に届ける技術をビームトラッキングと呼んでいる」(松永氏)という。

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