実践! ネットワーク運用のコード化[第1回]APIと構成管理ツールの活用法

近年、APIや構成管理ツールを活用することでネットワーク運用を効率化する新しい手法が登場しています。本連載では、これらの手法でネットワーク運用はどう変わるのかについて解説していきます。第1回となる今回は、ネットワーク機器オペレーションのコード化が求められるようになった背景、そしてAPIや構成管理ツールの機能と活用例を紹介します。

仮想化やセキュリティにおけるネットワークの重要性が高まるとともに、ネットワークエンジニアの対応範囲は大きく広がりつつあります。スイッチ、ルーター、無線LANなどのネットワーク機器だけではなく、ファイアウォールなどのセキュリティ機器、サーバー・ストレージ・仮想化環境、さらには上位のアプリケーションを含めたインフラ全体を運営・管理する方も数多くおられるでしょう。

また、業務システムの高度化により、インフラ管理の重要度はますます高まっています。例えば、仮想デスクトップを使用したテレワーク、ビデオ会議やメッセージングツール、クラウドの利用など、現在の業務は、どんな時でもネットワークを含めたインフラが常に正しく構成され、稼働していることが前提となっているといっても過言ではありません。

さらに、このようなインフラの運用に加えて、経営層からは新しいサービスやアプリケーションの展開など、ビジネスの変化への迅速な対応を求められることも増えてきています。それに伴い、サーバーやVLANの追加・削除、ファイアウォールルールの変更などの日常的な作業やメンテナンスにかかる時間の短縮、オペレーションミスの抑止、そして属人化しないフロー作りなども課題として挙げられます。業務として改善を求められるケースも多くなってきているのではないでしょうか。
APIや構成管理ツールで自動化このような課題の改善策を検討するなかで、作業前後での人間の入力や判断を減らすため、従来型の紙やエクセルの手順書から、プログラムが処理しやすく世代管理に適した形で記述することへの移行が検討されてきました。

従来のネットワーク管理では、TelnetやSSHを利用してCLI経由で機器を操作するマクロなどの簡易的なスクリプトの活用から、SDN(Software Defined Networking)コントローラーを使った機器の集中管理まで、様々な解決策が検討されてきました。

しかし、マクロなどでは、機器が出力するCLIのコマンドやメッセージが変更される場合など、プログラム側で表現の追従を考慮することや、マクロそのものは独自言語に基づいたものが多いため、新しい機器への対応やメンテナンスが困難であるといった問題点がありました。

また、SDNコントローラーによる集中管理は非常に高い効果を生む一方で、コントローラの購入や、ネットワーク機器をSDN対応機種へ更改する費用、そしてSDNを前提とした運用フローへの全面変更などがハードルとなり、主流と言えるほど導入が進んでいないのも現状です。

そのような中、非常に多くの機器・システムを運用するクラウドサービス事業者などでは、API経由でのシステム間連携や、構成管理ツールによるアプリケーション構成とインフラ管理が行われるようになっています(図表1)。

図表1 APIと構成管理ツールのイメージ
図表1 APIと構成管理ツールのイメージ

例えば、ワークフローツールでの変更決定を自動的に他システムに反映したり、使いたいアプリケーションをカタログから選択すると自動的に仮想マシンの生成からアプリケーションのインストールと構成を行うサービスなど、様々な活用例が登場しています。

このような動きに合わせて、一部のネットワーク機器もAPIや構成管理ツールへの対応が進みつつあります。これにより、様々な周辺インフラと連動した動作やコード化された運用手順の適用が期待されます。

月刊テレコミュニケーション2017年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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