「5Gは2023年に10億加入」―― エリクソンが予測レポートを発表

通信事業者向けインフラ機器を提供するエリクソン・ジャパンは2017年12月18日、同社が発行する定期レポート「エリクソン・モビリティレポート」の2017年11月版を発表した。5G(第5世代移動通信システム)の展開について、2023年に加入数が世界で10億に達すると予測。注目を集める「セルラーLPWA」の普及予測なども含め、レポートの詳細について同社CTOの藤岡雅宣氏が解説した。

「2023年には5G加入が10億に達する。その時点での人口カバー率は20%以上」

エリクソン・モビリティレポートの2017年11月版では、5Gの展開をそう予測している。


エリクソン・ジャパンCTOの藤岡雅宣氏

地域別に見ると、2023年時点で最も5Gが普及しているのは北米で、それに次ぐのが日本・韓国・中国等の北東アジアだ。「無線方式別のモバイル契約数」の予測では、北米は37%が、北東アジアは34%が5G契約になるとしている。エリクソン・ジャパンでチーフテクノロジーオフィサー(CTO)を務める藤岡雅宣氏は、「この2つの地域が突出している」と話した。

では、5Gは今後どのように進展していくのか。標準化、トライアル・商用導入、そしてサービス展開についてまとめたのが下の図だ。


5Gのロードマップ

最初の商用サービスは、北米で2017年末に提供が始まるFWA(FWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)で、これはFTTHサービスの代替を狙ったもの。藤岡氏によれば、「当初はプロプライエタリなシステムで始まるが、徐々に標準化されたものに移行していくだろう」という。

その後韓国、そして日本・中国で、本格的なモバイルでの利用が始まる予定だ。2018年の平昌五輪で商用化前のデモが行われた後、同年末から19年にかけて商用サービスが開始。2020年には日本と中国で商用サービスが始まる。

なお、2020年の段階では「今のスマホの延長線上に当たる」(藤岡氏)、5Gフェーズ1の商用サービスがスタート。その後、2022年ごろからミッションクリティカルなアプリケーション向けの超高信頼・超低遅延通信を含む「5Gフェーズ2」のサービスが始まるという予測だ。

5G導入形態は日韓と中国で異なる
もう1つ、5Gの展開で注目される点がある。5Gの無線アクセスには大きく2つの方式があり、どちらを採用して5Gのエリアを展開するのかは国・地域によって分かれる。

現在、多くのキャリアが導入しようとしているのが「Non-Standalone」(NSA)と呼ばれる形態だ。現行のLTEネットワークを進化させるかたちで5Gの新しい無線アクセス技術「New Radio for 5G」(以下「NR」)を導入するものだ(下図参照)。この形態では、NRの制御信号もLTEで送信し、NRとLTEの両方でデータ送信を行う。


5Gの無線アクセス方式

一方、NRを、LTEとは独立したシステムとして導入する形態が「Standalone」(SA)である。もちろんLTEとは相互連携するが、5Gの設備を展開する「最初からNRを入れる」ため、ネットワーク全体の構成も、NSAとSAでは若干異なってくるという。

NSAでは、LTEのコアネットワーク設備であるEPC(Evolved Packet Core)に機能を付加する「Option 3」と呼ばれる方式を用いる。これにより、NRの制御信号をEPC側で送るのだ。藤岡氏によれば、「日本や欧州はNSAでだんだんと5G化していく」。この場合、既存のLTE設備を提供しているベンダーが、5Gにおいても引き続き選定される可能性が高い。


5Gのネットワーク構成

一方、SAを採用するのが中国の通信事業者だ。こちらはEPCに依存せず、5Gのパケットコアである「NXGC(Next Generation Core)」とNRをつなぐ「Option 2」を用いる。

さて、今回発表されたエリクソン・モビリティレポートでは、このほかにも様々な調査・予測、分析が行われている。次に、注目が集まる「セルラーLPWA」の動向と予測について紹介しよう。

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