PBXを「IoTゲートウェイ」に――日立がIPテレフォニー事業で新構想

どんなオフィスにも必ず備わっている設備と言えば、真っ先に電話システムを思い浮かべる人も多いだろう。

オフィスに欠かせない通信インフラというこの強みを活かして、IP-PBXを「IoTゲートウェイ」にする――。そんな将来構想を打ち出したのが、「NETTOWER MX-01」などを製造・販売する日立情報通信エンジニアリングだ。IPTソリューション事業部IPTシステム本部でIPTソリューション企画部・担当部長を務める大内亮氏は「様々なシステムを連携させたり、センサーからの情報を収集するIoTゲートウェイへとIP-PBXを進化させていく」と話す。

センサー情報をWeb電話帳で表示この構想を実現するための鍵が、同社が新たに開発したIP-PBX内蔵ユニット「SSSU」(Solution Service Smart Unit)だ。各種のアプリケーションを搭載可能で、6月末にはこれを使った通話録音ソリューションを発売している。

そして9月8日には第2弾として、「Web電話帳ソリューションⅡ」の販売を開始した。このように、様々なニーズに応えるソリューションを提供できるのがSSSUの利点だ。

今回発売したWeb電話帳はPhone Appli製で、クリックトゥコールやプレゼンス表示等の基本的なUC(ユニファイドコミュニケーション)機能に加えて、名刺管理機能や、Microsoft Skype for Business、Cisco WebEx等の他社UC製品との連携機能も備える。なお、Web電話帳の機能はオンプレミス型のサーバーソフトまたはクラウドサービスとして提供され、それと連携するための機能をSSSUに搭載してIP-PBXに内蔵する。

このWeb電話帳の提供開始は、IP-PBXをIoTゲートウェイへと進化させるための第一歩目と言える。

図表 SSSUを活用したソリューション展開
図表 SSSUを活用したソリューション展開

日立情報通信エンジニアリングは今後、温度センサーや人感センサー等の多様なセンサーデバイスをIP-PBXに接続していく予定であり、「収集したセンサー情報をWeb電話帳のプレゼンス機能で可視化したり、他システムから発信された情報をPBXから端末に通知するといったことを目指している」(大内氏)。情報の可視化を目的にIoT導入を進める企業は多いが、「Web電話帳を可視化の入口として活用していきたい」という。

また、もともとIP-PBXはナースコールシステムやホテルシステムと連携して用いられるケースも多く、病院やホテル内の様々なデバイスから得られる情報を可視化し、看護師やホテルスタッフの端末に情報を通知するソリューションの開発も可能だ。

なお、SSSUとWeb電話帳ソリューションの提供は、広範囲なユーザーをカバーできる中小容量IP-PBXのMX-01から開始しているが、大容量IP-PBX「CX-01」でも提供を始める予定だ。

月刊テレコミュニケーション2017年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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