セルラーLPWAでGO![第2回] NB-IoTとLTE-Mの強みと違い

エリクソンの調査によれば、「2022年には広域IoTデバイスの70%以上がセルラー技術を使う」。ノンセルラーの「Sigfox」や「LoRa/LoRaWAN」があるなか、なぜセルラーLPWA「LTE-M」「NB-IoT」が本命視されるのか。

LTE-M、NB-IoT、Sigfox、LoRa/LoRaWAN……。今話題のIoT向け無線ネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」にはいくつか規格があるが、「本命はセルラーLPWA」。こう考える人は少なくない。

2018年から商用化予定のセルラーLPWAであるLTE-MとNB-IoTに対して、ノンセルラーの2大勢力であるSigfoxとLoRaはすでに日本国内で商用利用できる状況だ。そのため、今すぐにIoTソリューションを実用化したい企業にとって、SigfoxやLoRaは有力な選択肢となっている。

では、そんなSigfoxとLoRaを差し置いて、セルラーLPWAが本命と言われる理由はどこにあるのだろうか。

全国規模のカバレッジも強みモバイルキャリアは次のように口を揃える。「セルラーLPWAの強みは、『全国規模のエリアカバレッジ』と『通信品質』」――。

まず1つめのエリアカバレッジだが、LTE-MとNB-IoTの商用サービスは既存のLTE基地局を利用するため、基本的にキャリアは新たに基地局を建てる必要はない。3キャリアともに高い人口カバー率を実現しているLTEのサービスエリアをそのままLTE-MとNB-IoTのエリアにできる。

このため、商用サービス開始後、早い段階で、セルラーLPWAは全国で利用可能になると見込まれる。日本の約25倍もの面積がある米国でさえ、ベライゾンとAT&TはLTE-Mのサービス開始時点から、全米規模のLTE-Mネットワークを展開できた。また、一気に全国でNB-IoTのサービスを開始した国は多い。日本の3キャリアが、全国規模の商用サービスを早期に実現できないはずがない。

そして実際に、KDDIやソフトバンクは早期に日本全国でセルラーLPWAを提供すると表明している。

このようなセルラーLPWAに対してSigfoxの場合、2020年3月末までに人口カバー率99%を実現すべくKCCSが基地局の設営を進めているが、まだ道のりは半ばだ。そしてもう1つのLoRaは、今の日本では、LPWAを使いたい企業がLPWAを必要としているエリアで自らLoRaの基地局を設営するスタイルになっているため、カバレッジは関係ない。

したがって、日本初の全国規模のLPWAネットワークは、来年にも商用サービスがスタート予定のLTE-MとNB-IoTになると考えられる。

月刊テレコミュニケーション2017年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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