企業ネットワーク最前線

<特集>エッジコンピューティングの全貌 最終回

エッジコンピューティングの使い方はLTEと5Gでどう違うのか

文◎坪田弘樹(編集部) 2017.10.31

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

エリクソン・ジャパン
CTO 藤岡雅宣氏

エッジコンピューティングとキャリアネットワークの関係は、どうなっているのだろうか。エッジコンピューティング時代、コアネットワークはどう変わり、どんなユースケースが可能になるのか――。エリクソン・ジャパン CTOの藤岡雅宣氏に聞いた。

 
キャリアネットワークにおいてエッジコンピューティングは、NFVやネットワークスライシングといった技術と密接に関連している。5Gに向けたモバイルネットワークの進化の流れの中で、エッジコンピューティングの位置づけを整理すると、次のようになる。

NFVとネットワークスライシングは、ネットワークの構成とサービス提供の仕方を大きく変える。専用ハードを不要とし、汎用サーバー上にネットワーク機能を配備できるようにするNFVによって、従来はコア設備にあった機能を「無線に近いところや、パブリッククラウドに置けるようになる。『分散クラウド』の世界になる」と語るのは、エリクソン・ジャパンのCTOである藤岡雅宣氏だ。

さらに、SDNによって制御プレーンとデータプレーンを分離することで、制御機能は集中的に配備し、転送処理を分散させるといった構成も可能になる。これらの技術は、エッジコンピューティングを無線基地局や収容局等に実装するための土台とも言える。

そして、この分散配置された機能を組み合わせて、ユーザー/アプリケーション側の要求を満たす論理ネットワークを構成し提供するのがネットワークスライシングだ。例えば、低遅延・高信頼性が求められる安全運転支援アプリ用のスライスでは「(市単位で置かれる)GC局等にクラウドを作り、そこに仮想EPCとアプリを置く」(藤岡氏)というように、スライスを実現するための1要素としてエッジコンピューティングが使われることになる。

エッジとクラウドを柔軟に使い分けこうした使い方は、LTEでも技術的には可能だ。藤岡氏は「ネットワークスライシングはLTEでも使えるし、仮想EPCも商用化されているから今でもできる。5Gが前提ではない」と話す。

実際、エリクソンとチャイナモバイルは昨年、無線基地局に仮想EPCを置いた構成で、ドローンを制御するトライアルを行っている。ドローン本体とそのコントローラ間の通信を基地局で折り返すことで、エンドツーエンドの遅延時間を20~30ms程度に抑えられたという。

ただし、超低遅延、超高速通信が可能な5Gでは、さらに進化したエッジコンピューティングの使い方が可能になる。

今年2月のMWC2017では、エリクソンとテレフォニカが、バルセロナの会場から50キロ離れた場所にある電気自動車を遠隔運転するデモを行った。その際の遅延は、操作のための通信が4ms、4K相当の映像を3枚送る車載映像の伝送も約40ms。運転者はクルマがバンプを通る際の振動も体感でき、「まったく違和感なく運転できる」レベルだったという。

もう1つ、今年5月の「5G Tokyo Bay Summit 2017」でエリクソンとドコモが行ったデモも、5Gとエッジコンピューティングの可能性を示すものだ。カメラを搭載したロボットに、性能の異なる2つのスライスをつないで制御するというものである。

図表のように、映像データは広帯域スライスでクラウドに送り、ロボットの制御操作は低遅延・高信頼のスライスで行う。後者の処理は近傍のデータセンター、つまりエッジで行う仕組みだ。

 

図表 カメラ搭載ロボットの制御
図表 カメラ搭載ロボットの制御



このように5Gでは、1つの端末で複数スライスの接続を同時に持てるようになる。1スライスしか同時接続できないLTEと比べて、エッジの使い道も広がるはずだ。藤岡氏は「ローカル処理が必要な部分と、センターでよい部分を分けて、両者を連携させるような使い方がこれから出てくる」と予想している。

スペシャルトピックスPR

yamaha1711
necpf1711
nec1711

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】IoTと宇宙
<Part 1>衛星画像で超広域IoT
<Part 2>これが未来の衛星通信だ
<Part 3>センチメーター級測位がIoTを変える

◆京セラコミュニケーションシステム 黒瀬社長「Sigfoxで世の中は変わる!セルラーIoTとは別世界だ」 ◆働き方改革で用途広がるPBX/ビジネスホン ◆導入後に困らないWi-Fiを作ろう ◆“タフな無線”でドローン操縦 ◆「IoT自販機」を地域の見守り拠点に

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
次世代SPS2017_B

スペシャルトピックス

Office 365導入を成功に導くため NWを見直すべき10のポイントOffice 365導入を成功に導くため NWを見直すべき10のポイントOffice 365導入を成功に導くため
NWを見直すべき10のポイント

実際の失敗例をもとに、ネットワークの見直しのポイントを整理する。

無線LAN APだけで電子証明書も運用可能に 運用管理を容易化する工夫も満載!無線LAN APだけで 電子証明書も!

ヤマハのAPは内蔵コントローラ で複数のAPを統合管理できる。セキュリティ機能も充実だ。

Wi-Fiの見えない脅威を可視化・防御 ワイヤレスIPSをお求めやすい価格で!「見えない脅威」にさらされている
無線LANをどう守る?

Wi-Fiの見えない脅威を可視化・防御するワイヤレスIPSを手頃な価格で!

オンプレミス型のPBX/ビジネスフォンは“時代遅れ”では決してない。

機械学習/AIを使った自律運用型ネットワークをArubaは提案する。

ウォッチガードなら「導入運用の容易性」と「強固なセキュリティ」を兼ね備えたWi-Fi環境が手に入る。

パブリッククラウドの普及で、設計・構築・運用法が大きく変わった!

待望の後継機が遂に登場!電話番号の最大登録数は2倍に向上。

ソフトバンクのMDMは、管理者の運用負荷を軽減しながらセキュアな利用を可能にする。

働き方改革はICTツールの導入・活用から取り組むのが有効だ。

大量のアラートをさばくのに忙殺される、旧態依然の運用と決別しよう。

NECのソリューションなら、多様なモバイルワークをセキュアに実現!

「WhatsUp Goldならコスト半減も可能」。イプスイッチの関口氏はこう自信を見せる。

4~6人程度の会議に最適なロジクールのビデオ会議「MeetUp」とは?

ヤマハ独自の音声処理技術が、臨場感あふれる会議を実現する。

注目が集まるCASBのメリットを活かすには、運用負荷を軽減する仕掛けが不可欠だ!

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション
iot16
compass
packet

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2015 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます