企業ネットワーク最前線

Bluetooth meshで大規模IoT――「洪水型」で数千デバイスでの運用も可能

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2017.09.25

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

クアルコム CDMA テクノロジーズ
マーケティング シニアマネージャー
篠崎泰宏氏

メッシュネットワークに対応したBluetoothの新規格「Bluetooth mesh」が7月にリリースされた。数千台規模のネットワークを容易に構築できる拡張性と高信頼性を武器に、産業分野での普及を狙う。

 
「メッシュ技術の標準化によって、Bluetoothはビルオートメーションやファクトリーオートメーションなどの産業分野でも広く使われるようになる」

クアルコムでIoT用のSoC(System on Chip)製品を担当する篠崎泰宏氏は、7月18日(米国時間)にBluetooth SIGが発表した新規格「Bluetooth mesh」の登場により、Bluetoothの活用シーンは大きく広がると期待をかける。

現在、パーソナルユースを中心に広く使われているBluetooth。その通信距離は、数mからせいぜい数十m程度だ。Bluetooth meshは、多数のデバイスを相互接続し、バケツリレー方式でデータパケットを中継するメッシュネットワークの機能を持ったBluetoothに付加することで通信距離を大幅に拡大する。これによりビルや工場全体をBluetoothでカバーすることが可能になるのだ。

Bluetooth meshは、クアルコムが2015年に買収した英CSR社の「CSRmesh」をベースに、Bluetooth SIGがIoT通信に広く活用できる技術として標準化したもの。CSRmeshは、2014年に対応製品が出荷が開始され、照明制御などの分野で利用されているが、標準化により様々なプレイヤーがメッシュネットワーク対応のBluetooth製品を展開できるようになる。

クアルコムでは「今後発売するBluetooth対応SoC製品をBluetooth mesh準拠に統一し、Bluetoothの利便性を高めていく方針」(篠崎氏)だという。

パケットを全デバイスに配信Bluetooth meshは、Bluetoothの省電力仕様であるBluetooth Low Energy(BLE)のブロードキャスト通信機能を利用してメッシュネットワークを実現する。ここでポイントとなるのが、CSRmeshで実用化されたフラッド(洪水)型メッシュと呼ばれる技術だ(図表)。

 

図表 IoT無線に使われる2タイプのメッシュネットワーク[画像をクリックで拡大]
図表 IoT無線に使われる2タイプのメッシュネットワーク


メッシュネットワークは、ZigBeeやZ-Waveなど、すでに他のIoT向け無線規格でも実用化されている。ただ、その多くが採用しているのは、ルーテッド型メッシュである。ルーティング機能を持つ一部の高機能デバイス(ZigBeeでは「ルーター」と呼ぶ)に周辺のデバイスを収容し、相互に接続されたルーターネットワークを介して、デバイス間の通信を行う。

これに対して、フラッド型メッシュでは、ルーティングは行わない。あるデバイスがブロードキャストでデータパケットを送出すると、これを受信したデバイスが周囲のデバイスにブロードキャストで中継して全デバイスにパケットを行き渡らせる。受信したパケットを周囲のデバイスにブロードキャストする一方、受け取るのは自分のアドレス宛てのパケットだけだ。

このようにシンプルな仕組みを採用するBluetooth meshだが、これだけではパケットが溢れてしまう。そこで例えば、一度送信したパケットは再度送信しない、パケットの中継回数(TTL)に制限を設けるなどの制御を同時に行っている。

送信先はアドレスで指定するが、Bluetooth mesh/CSRmeshでは複数のデバイスをグルーピングすることも可能で、ビル全体や特定の部屋の照明をまとめて制御するといった使い方が可能になっている。

ネットワークに送出されたパケットをすべてのデバイスで中継するフラッド型メッシュの課題としては、各デバイスの消費電力が大きくなってしまうことが挙げられる。そこでBluetooth mesh/CSRmeshでは、電池稼働のセンサーデバイスなどは中継を行わないように設定し、商用電源につながった照明器具などを「リレーノード」として活用するのが一般的だ。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

nec1710
ipswitch1710
yamato1708

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】セルラーLPWAでGO!
●LTE-MとNB-IoTの違い/●世界のセルラーLPWA商用展開マップ/●注目セルラーLPWA事例 ほか

◆[インタビュー]NTTドコモ 執行役員 大野友義氏「対話型AIであらゆる生活を革新」 ◆LTEコードレス「sXGP」- 自営PHSから自営LTEへ ◆OTTも参戦!海底ケーブル市場の今 ◆ネットワーク監視ツール ◆働き方改革で拡大する法人スマデバ

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー
yamaha_YSL_V810

スペシャルトピックス

パブリッククラウドの普及で、設計・構築・運用法が大きく変わった!

待望の後継機が遂に登場!電話番号の最大登録数は2倍に向上。

ソフトバンクのMDMは、管理者の運用負荷を軽減しながらセキュアな利用を可能にする。

働き方改革はICTツールの導入・活用から取り組むのが有効だ。

大量のアラートをさばくのに忙殺される、旧態依然の運用と決別しよう。

NECのソリューションなら、多様なモバイルワークをセキュアに実現!

「WhatsUp Goldならコスト半減も可能」。イプスイッチの関口氏はこう自信を見せる。

4~6人程度の会議に最適なロジクールのビデオ会議「MeetUp」とは?

ヤマハ独自の音声処理技術が、臨場感あふれる会議を実現する。

注目が集まるCASBのメリットを活かすには、運用負荷を軽減する仕掛けが不可欠だ!

ヤマトの総合物流ターミナル「羽田クロノゲート」で様々な付加価値!

RADIUS内蔵APとの連携で無線/有線LANの両方でデジタル証明書認証

LPWAネットワークを自ら構築するなら、世界で豊富な実績を誇るキャリアグレードのActilityだ。

業界最高レベルのキャリア/サービスプロバイダ向けルータが登場する。

無線プロトコルスタック「SkWAN」搭載のLPWA基地局なら、1台で最大6400台のエンドデバイスを接続できる!

IBM Watsonが最適な活用方法や脅威対策を提供! 先進のPC/スマホ一元管理を実現する「IBM MaaS360」とは?

アクセスランキング

月刊テレコミュニケーション
emc
compass
packet

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2015 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます