LPWA「ローラ」の選び方(前編)――LoRaとLoRaWANの違いとは?

一口に「ローラ」と言っても、LoRaWANや独自仕様のLoRaなど様々なネットワークが存在する。では、これからLPWAをローラで構築しようとしている企業は、どの製品やサービスを選べばいいのだろうか。

「ローラでLPWA(Low Power Wide Area)ネットワークを構築する」と言うとき、「ローラ」が意味するのは“LoRa”と“LoRaWAN”のどちらであるか考えたことはあるだろうか。

両者の違いを意識している人は少ないかもしれない。しかし、これからLPWAネットワークを構築するSIer/NIer、または導入を検討している企業のシステム担当者は、LoRaとLoRaWANの違いを理解しておく必要がある。なぜなら、調達すべき製品やサービスなどが異なるためだ。

“LoRa”は無線の変調方式最初にLoRaとLoRaWANの違いを明確にしておこう。

LoRaは、ネットワークの物理層で規定される“無線の変調方式”だ。Long Rangeの最初2文字をとって造られた名称で、その名の通り、LoRa変調は電波が遠くまで飛び、長距離通信に適しているのが特徴である(図表1)。

図表1 LoRa変調とLoRaWAN
図表1 LoRa変調とLoRaWAN

一方、LoRaWANは、業界団体「LoRaアライアンス」が策定しているオープンな“無線ネットワーク規格”の名称だ。LoRaアライアンスには、500社を超える世界中の企業が加盟。その顔ぶれは、モジュールメーカーからデバイスメーカー、ICTベンダーまで幅広く、一大エコシステムを形成している。

LoRaWANはLoRa変調を採用しているが、仕様上はFSK変調を利用することも認められている。FSK変調の場合、送信できるデータサイズがLoRa変調より大きくなるメリットはあるものの、通信距離は短くなってしまう。つまり、LPWAネットワークとしての魅力は弱くなる。

このようにLoRaとは本来、変調方式を指す言葉であるが、LoRa変調の無線ネットワークのことを便宜的にローラと表現するシーンにしばしば遭遇する。そのローラには、LoRaアライアンスが策定した標準仕様に基づくLoRaWANに加えて、ベンダーが自社開発したLoRa変調を用いた独自仕様の無線ネットワーク規格も含まれる。

本稿では、LoRaアライアンスが策定した仕様に基づく無線ネットワークは「LoRaWAN」、独自仕様の無線ネットワークは「独自LoRa」、変調方式としてのLoRaは「LoRa変調」と記すことにする。

月刊テレコミュニケーション2017年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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