「NB-IoTの商用化の準備はほとんど整った。当社だけでも、2017年末までに2000~3000万個、2018年には1億個超のNB-IoT対応チップセットを出荷する見込みだ」――。
こう語るのは、通信機器大手ファーウェイの本社・製品開発部門でIoT分野を担当するバイス・プレジデントのジャン・ワンチェン氏だ。
ファーウェイ プロダクト&ソリューショングループ マーケティング&ソリューション・セールス部門 バイス・プレジデント ジャン・ワンチェン氏(蒋旺成/Jiang Wangcheng) |
NB-IoTとは、低消費電力、広域通信、低コストが強みのIoT向け無線ネットワーク「LPWA(Low Power Wide Area)」の一種。モバイルキャリアの専売特許ともいえるLTEをベースにしており、2016年6月に策定された3GPP Release 13で標準化された。
現在、日本で利用可能なLPWAにはSIGFOXやLoRaWANがあるが、NB-IoTの商用化にも各方面から大きな期待が寄せられている。
ソフトとチップの準備はできた!ジャン氏が冒頭のように宣言した根拠は2つある。
1つめは、ファーウェイにおいて、基地局用ソフトウェアのNB-IoT対応バージョンが仕上がったこと。既存のLTE基地局にこのバージョンを適用すれば、NB-IoTの通信をサポートできるようになる。ファーウェイでは、今年6月からLTE基地局をNB-IoT対応にアップグレードするためのバージョンを提供予定だという。
2つめの根拠は、IoTデバイスに搭載するNB-IoTのチップセットを大量生産できる体制が整ったことだ。ファーウェイは2017年4月から、Release 13に準拠したチップセットを大規模で提供可能になった。
NB-IoTのチップセットと通信モジュール。チップセットはファーウェイが、通信モジュールについてはU-bloxなどのサードパーティが提供する |
同社は昨年夏からNB-IoTのチップセットを提供してきたが、それはまだRelease 13を想定した暫定仕様のものだった。それが昨年末、正式にRelease 13に準拠したチップセットを小規模で生産可能になり、今年に入っていよいよ大量生産できるようになったわけだ。