ビジネスの明日を動かすICTトレンド生産性向上の本命となるか? – 「RPA + AI」で切り開く、オフィス業務の将来像

働き方改革への関心の高まりに伴い、最近、「RPA」が脚光を浴びています。RPAとは、Robotic Process Automationの略。パソコン上で動くソフトウェアロボットが、様々なパソコン業務を代行してくれます。今回はRPAを活用したオフィス業務の生産性向上にフォーカスします。

GDP600兆円実現に向け、オフィス業務にも生産性向上が求められている安倍内閣は、2020年度に名目GDP600兆円の達成を目指しています。2015年度の名目GDPの確報値は532兆円でしたので、これは大きなチャレンジと言えるでしょう。

具体的には、「名目GDP600兆円に向けた成長戦略(「日本再興戦略2016」)」において、「官民戦略プロジェクト10」を設定し、計画を精緻化しています。

600兆円に向けた「官民戦略プロジェクト10」(一部項目の抜粋)

1:新たな有望成長市場の創出
① 第4次産業革命の実現~IoT・ビッグデータ・AI・ロボット~ 【付加価値創出:30兆円(2020)】
② 世界最先端の健康立国へ【市場規模:16兆円(2011)→ 26兆円(2020)】
③ 環境エネルギー制約の克服と投資拡大【エネルギー関連投資:18兆円(2014年度)→ 28兆円(2030年度)】
④ スポーツの成長産業化 【市場規模:5.5兆円(2015)→15兆円(2025)】
⑤ 既存住宅流通・リフォーム市場の活性化【市場規模:11兆円(2013)→20兆円(2025)】

2:ローカルアベノミクスの深化
⑥ サービス産業の生産性向上【付加価値:343兆円(2014)→ 410兆円(2020)】
⑦ 中堅・中小企業・小規模事業者の革新
⑧ 攻めの農林水産業の展開と輸出力の強化【6次産業市場:5.1兆円(2014年度)→ 10兆円(2020年度)】
⑨ 観光立国の実現【外国人旅行消費額:3.5兆円(2015) → 8兆円(2020)、15兆円(2030)】

3:国内消費マインドの喚起
⑩官民連携による消費マインド喚起策等

名目GDP600兆円に向けた成長戦略(「日本再興戦略2016」)
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/f/5/2/f52273661575777aee873bca54abdf79.pdf

この「官民戦略プロジェクト10」の本文の中には、ロボットに関する記述が多く見られます。具体的には

・「ロボット革命実現会議」
・「介護ロボット活用」
・「ドローン配送実現」
・「中堅中小企業向け小型汎用ロボ」

などです。今後さらに生産年齢人口減少が進む我が国が経済成長するためには、ロボットの活用が必須である、ということでしょう。

これは、間接部門を始めとするオフィス業務についても言えることです。

オフィス業務における生産性向上と言えば、「働き方改革」を思い浮かべる方が多いと思います。

「働き方改革」は、決してオフィス業務だけを対象にしたものではありませんが、「リモートワークの推進」など、オフィス業務が主な対象である施策が目玉の1つとなっています。そのため、オフィス業務は「働き方改革」の重要な対象の1つと考えることができるでしょう。

この「働き方改革」では、生産性向上に加え、別の目的もあります。

みなさんも記憶に残っていると思いますが、某広告代理店の女性新入社員が過労により自殺をした、という悲しい事件が起こりました。

このようなことを繰り返さないために、長時間労働是正など、ワークライフバランスの質を向上していくことも「働き方改革」の目的です。

つまり、女性や高齢者を活用して労働人口の増加を図りつつ、さらに生産性向上とワークライフバランスの質の向上を両立させることが、「働き方改革」の目的です。

しかし「働き方改革」で示された内容だけでは、ワークライフバランスの質の向上はともかく、生産性の向上は限定的になるのではないか、と筆者は考えています。それほど人口減のインパクトが大きいということです。

そこで、オフィス業務においても、人間による「働き方改革」以外に、生産性を大きく伸長させる手段が期待されています。

それが、今注目されているソフトウェアロボットを使った業務改革、つまりRPAの活用です。

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西俊明(にし・としあき)

慶應義塾大学文学部卒業。合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション代表社員/CEO。富士通株式会社で17年間にわたり、営業、マーケティング業務に従事。2008年、経済産業大臣登録・中小企業診断士として独立し、2010年、合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション設立。専門分野は営業・マーケティング・IT。Webマーケティングやソーシャルメディア活用のテーマを中心に、8年間で200社以上の企業や個人事業主のマーケティングのコンサルを実施、180回以上のセミナー登壇実績をもつ。著書に『あたらしいWebマーケティングの教科書』『ITパスポート最速合格術』『高度試験共通試験によくでる午前問題集』(技術評論社)、『絶対合格 応用情報技術者』(マイナビ)、『やさしい基本情報技術者問題集』『やさしい応用情報技術者問題集』(ソフトバンククリエイティブ)、『問題解決に役立つ生産管理』『問題解決に役だつ品質管理』(誠文堂新光社)などがある。

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