4つのLPWAでIoTの新市場を拓くKDDI――“事業変革型ビジネスモデル”の提案も

KDDIがLPWAへの取り組みを本格化させる。ビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は、Cat-M1、NB-IoT、LoRaWAN、SIGFOXの4つのLPWAで、IoTの新領域を開拓していくと意気込む。

KDDIが、LPWA(Low Power Wide Area:小電力広域無線システム)を軸としたIoTソリューションへの取り組みを加速させている。

KDDIは携帯大手3社の中でもM2M/IoT分野で先行。最近では特に電力販売の全面自由化を機に普及が進んでいるスマートメーターへの通信モジュール・回線の提供で高い実績をあげている。

3月1日に都内で開催された「IoT技術セミナー」(主催・リックテレコム)で講演したKDDIビジネスIoT企画部長の原田圭悟氏は「全国の多くの電力会社様にご採用いただき、年間100万契約に迫る勢いで利用が広がっている」と、スマートメータービジネスの現状を説明した。

携帯電話回線を用いるM2M/IoTの国内市場は年平均23.6%という高い伸びが予想されているが(回線ベース、テクノシステムリサーチ調べ)、原田氏は「現状では自動車、セキュリティ、スマートメーターの3分野が大きな伸びを見せている」と明かす。さらに「近い将来、ウェアラブルデバイスや見守り端末、ゲーム機といったコンシューマーデバイスも大きく伸びると見ている」という。

IoT分野の新たな収益源にもこの新たな市場を捉えるべくKDDIは2016年度から回線販売を中心とした従来のM2M/IoTの事業モデルを、IoTを活用してサービスを行う企業(サービサー)がビジネスを円滑に展開するために必要な様々な仕組みを提供する「KDDI IoTソリューション」にシフトさせた。

同ソリューションは、KDDIが従来から手がけてきた「回線」「端末」に、IoTクラウドなどの「上位レイヤ」を加えた3つのレイヤで構成されている。上位レイヤでは、様々なセンサーから情報を取得して「見える化」を容易に実現する「KDDI IoTクラウド Standard」や、アジャイル開発の手法を用いてIoTシステムの構築を支援する「KDDI IoTクラウド Creator」の展開が始まっている。

回線レイヤでも、SIMの情報を遠隔操作で書き換え可能にして通信機能を内蔵した車や家電製品などのIoTデバイスの世界展開を円滑に行えるようにする「グローバル通信プラットフォーム」や、MVNOのソラコムのサービス基盤を利用してIoTで使いやすい料金プランなどを提供する「KDDI IoT コネクトAir」が利用できるようになっている。端末レイヤでは、KDDI総合研究所が開発したSIMセキュリティ技術の実装も可能だ。

こうした事業展開を進める狙いについて原田氏は「レイヤごとに特色のあるサービスを準備している。IoTでビジネスを展開される企業様には、得意分野には自らのリソースをお使いいただき、そうでない部分を我々がお手伝いできればと考えている」と説明する。企業がIoTビジネスを円滑に展開できるようにすることで、新たな市場を作りだそうとしているのだ。同時に、これらのソリューションは通信料金の低廉化が強く求められるIoT分野における新たな収益源にもなる。

月刊テレコミュニケーション2017年4月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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