「4人に1人は辞める」からの出発 ―― サイボウズはいかにして“働きがいのある会社3位”になったのか

28%もあった離職率を10年余で4%にまで低減させ「働きがいのある会社」へと変身したサイボウズ。そこには大胆な人事制度とICTツールの整備、徹底した風土改革があった。「シスコ コラボレーション サミット東京2016」の基調講演で青野慶久社長が語った、ワークスタイル変革の秘訣をレポートする。

“社員の4人に1人が辞める会社”から“働きがいのある会社”へ――。

サイボウズは約10年前、従業員が次々と辞めていく会社だった。2005年の離職率はなんと28%。だが、その後のワークスタイル変革への取り組みにより、現在の離職率は4%に低下した。調査機関Great Place to Workが発表した2016年版の日本における「働きがいのある会社」ランキング(従業員100-999人)では3位を獲得している。


ワークスタイル変革への取り組みについて語るサイボウズの青野慶久社長

2005年は青野慶久氏が代表取締役社長に就任した年だ(同年4月に就任)。同氏は離職しようとする社員たちに対して、給料の引き上げや配置転換など「引き止め工作をやった」が、効果はなし。そこで青野社長が達した結論は「多様な働き方ができないことが社員が辞めていく要因。働き方を変えていけることが大切だ」というものだった。


社長就任直後の離職率は28%。そこから10年で4%まで低下した

では、そこから10年で離職率を7分の1にまで低減できた理由とは何か。2016年4月20日に行われた「シスコ コラボレーション サミット 東京 2016」の基調講演に登壇した青野社長は、同社におけるワークスタイル変革の取り組みについて説明。合わせて、シスコシステムズのテレビ会議システム「Cisco Telepresence」や、クラウド型コラボレーションツール「Cisco Spark」を活用した現在のオフィス、社員の働き方などを紹介した。

“100人いれば、100通りの人事制度があってよい”

サイボウズがまず手掛けたのは、人事制度の改革だった。

その方針は「従業員一人ひとりの個性が違うことを前提に、それぞれが望む働き方や報酬が実現されればよい」というもの。公平性よりも個性を重視し、“100人いれば、100通りの人事制度があってよい”という考え方に基いて、次々と新たな人事制度を「足していった」のだという。


公平性よりも個性を重視した人事制度にすべく、従業員の提案に基いて新たな制度を足していった

例えば、「残業はしない」「短時間勤務がしたい」「週3日だけ働きたい」など働き方を選択できるようにしたり、都合によって働く場所・時間帯を選べる「ウルトラワーク」と呼ぶ制度も作った。育児休暇に関しても、1年から1年半が一般的なところ、サイボウズでは最大6年間の育児休暇期間が取得できるようにした。自身3人の子供がいる青野社長も育児休暇を取得した経験を持つ。

ほかにも、副業の自由化(誰でも会社に断りなくできる)、1人当たり年1万円の部活動補助、オフィス内BARの設置など、社員の要望に基いて数々の取り組みを行ってきている。なかでもユニークなのは、人事部に置かれた「感動課」だろう。社員に感動を与えることをミッションに、ひたすらイベントを企画・実施する専門職種だ。

こうした取り組みの成果は、離職率の低下に現れているように従業員の働きがいを高めたのと同時に、経済合理性にもつながっていると青野氏は話す。従来、離職者の穴を埋めるためにかけていた、新規人材の採用・教育のための手間とコストが激減したのだ。「育児休業を取った社員も必ず帰ってきてくれるようになった」という。

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