もう怖くない!中小企業のための無線LAN導入術

無線LAN活用の場が中小企業にも拡大している。そのトレンドを後押ししているのは、コストメリットに優れ、容易に導入・運用できる製品やサービスの登場だ。

「便利そうだからと無線LANを3、4年前に導入してみたが、トラブルが多発してしまった。繋がらない原因は分からないし、使い勝手以上に運用負荷が高くついてしまう。それ以来、無線LANはもうこりごり」。こんな中小企業やSIerは実は多い。

しかし、そうは言っていられない状況になってきた。有線LANポートを持たないスマートフォンやタブレット、無線LAN対応のノートPCの普及加速に伴い、大企業のみならず、中小企業においても無線LANは業務効率化や収益アップを図るうえで不可欠なネットワーク基盤となりつつあるからだ。

いつまでも無線LANを敬遠しているわけにはいかないが、中小企業のIT担当者やSIerの導入・運用負荷の軽減に役立つ無線LAN製品・サービスも増えてきている。

運用保守はまるごとお任せ!クラウド管理の無線LAN無線LANの導入や運用にまつわる負荷は限りなくゼロにしたい。そのような要望に応えるサービスが1年以上前から増加している。「マネージド無線LANサービス」などと言われるサービスだ。

「無線LANを導入したい企業は、送られてきた箱を開梱して無線LANアクセスポイント(以下、無線AP)を取り出し、電源やLANのケーブルを挿し込むだけ。しかも、挿すときには電話でサポートを得ることができる」。NTT東日本のマネージド無線LANサービス「ギガらくWi-Fi」について、同社ビジネス開発本部第一部門Wi-Fi推進担当課長の増山大史氏はこう説明する。

レンタル提供される無線AP1台で快適な通信を提供できる目安は、半径25mの範囲内、タブレットやノートPCなどの無線LA Nクライアントは50台前後(図表1)。プランごとに設定されている月額利用料を数千円支払えば、このサービスを導入する企業は年中無休で電話サポートを得ることができる。設定変更、トラブル時の対応など、すべてヘルプデスクに電話を一本かけるだけのため、運用の負担はほとんどない。

図表1 ギガらくWi-Fiの無線AP設置イメージ
ギガらくWi-Fiの無線AP設置イメージ

サービス内容、機能、料金体系は異なるが、大塚商会の「たよれーる らくらくWi-Fi」、IIJの「@Wi-Fi」、三井情報システムの「MKIマネージドWi-Fi」など、ギガらくWi-Fiと似たようなマネージド無線LANサービスはいくつもある。

これらのサービスを裏で支えている仕組みは、「クラウド管理型の無線LAN」だ。

クラウド管理型の無線LANとは、無線LANコントローラの機能をクラウド上で提供する仕組みで、無線APを設置している現場から離れた場所にいても、無線APを制御できる(図表2)。マネージド無線LANサービスを利用する企業はクラウド管理型であることを特別に意識することはないが、サービスを提供するベンダーはクラウドにあるコントローラ機能を利用して企業に設置している無線APの設定作業や状態把握などを行う。

図表2 従来型無線LANとクラウド管理型無線LAN
従来型無線LANとクラウド管理型無線LAN

ギガらくWi-Fiの場合、NTT東の営業担当者が訪問時にヒアリングした内容に基づいて、あらかじめクラウドに初期設定を登録している。そのため、無線APがネットワークに繋がり次第、初期設定が自動的にクラウドから無線APに流れ込む。SSIDやパスワードの紐づけも、ヘルプデスクで管理してくれる。

無線LANを利用していて、「今までは社員用のSSIDだけで十分だったが、これから来客用のSSIDも欲しい」となれば、ヘルプデスクに電話するだけで新しいSSIDを追加できる。

「ちょっと最近調子が悪い」「隣の人は無線LANを利用できているのに、自分は利用できない」といったトラブルが発生した時にもヘルプデスクに相談すれば、「周囲の無線LANと電波干渉が起きていますので、別のチャネルに切り替えましょう」「パスワード入力を間違えています。正しいパスワードはこちらです」と対応してもらえる。

プランによっては、店舗のFacebookにチェックインした来店客に無線LAN接続を許可する「Facebook Wi-Fi」や、来店客向け無線LANを利用した時に指定したWebページを表示可能な「指定Webサイト表示」など、飲食店や小売店などでマーケティングに利用できる機能があり、これらも電話するだけで利用できるようになる。

とにかく中小企業に運用負荷がかからないことが好評で、「ほとんどの企業は、何らかの理由から無線LANの導入を検討している。営業担当者が『簡単に導入できる無線LANが出ました』とアポイントを取り、2~3回訪問してサービス内容や料金を説明すれば申込書に記入してもらえる。営業からの提案をどこの企業も待っているように感じる」(増山氏)という。

同サービスを利用している企業の内訳はオフィスが50%、飲食店や小売店が20%、ホテルや病院などの施設が同じく20%、その他が10%となっている。店舗ではタブレットPOS、保育園などの施設では勤怠管理のタブレット向けソリューションがギガらくWi-Fiとともに利用されるなど、無線LANを取り巻く動きは活発化しているそうだ。

月刊テレコミュニケーション2016年2月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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