ネットワークカメラ最新動向!――充実の機能とクラウド化でサービス領域が拡大

ネットワークカメラは、本体やレコーダーにさまざまなインテリジェント機能を搭載する。これまで中心となってきた監視・防犯対策という目的にとどまらず、マーケティングなどの分野でより高度な活用が可能となっている。

国内のIP監視カメラ(ネットワークカメラ)市場はここ数年、治安の悪化に伴う防犯意識の高まりを受け、出荷台数は年間15~20%で成長を続けている。

最近は街全体で犯罪を抑止する「タウンセキュリティ」が重視されるようになっており、商店街や通学路、公園など各所に監視カメラを設置して住民が安全に暮らせる環境作りを目指している自治体も多い。

また、首都圏では2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたテロ防止や安全強化を目的として、関連施設だけでなく周辺地域や観光客が多く訪れる繁華街なども含め、密に監視カメラを設置する動きが今後は進むと見られる。

他方、街中の防犯以外の用途も広がっている。

食品偽装事件が頻発した14年以降、食品関連の工場では製造ライン管理にネットワークカメラの導入が相次いでいるほか、太陽光発電のパネルや工事現場における資材の盗難防止、原子力発電所の不審者の侵入防止などを目的とした導入も目立つ。

このため、ネットワークカメラ市場は今後もハイペースでの伸びが続く見込みで、国内でも数少ない成長市場となっている。
4Kカメラの本格普及には課題もネットワークカメラは基本的に、①カメラでデジタル映像を撮影、②LAN/WANで映像をIP伝送、③NVR(ネットワークビデオレコーダー)やサーバーなど録画/管理システムで映像を保存するとともに、モニターに表示するための加工処理を施す、というシステム構成となっている。

①~③全体に関わるトレンドとして、デジタル映像の高解像度化が進んでいる。

大手メーカー各社からは、フルHDの4倍もの解像度を実現する4K対応の製品も登場。1台で撮影できる範囲が広がることでカメラの台数削減につながり、結果的に設備コストの抑制というメリットが期待できる。

その反面、ネットワークカメラは24時間365日稼働し続けることが多く、しかも解像度が高くなるほど大容量になるため、4Kともなると帯域を圧迫することは避けられない。高解像度を維持しつつ、いかに帯域の負荷を軽減するかが課題となっている。

また、映像を表示するディスプレイが現状ではフルHDどまりであり、4Kならではの良さを活かす環境ができあがっていない。このため、当面はフルHDカメラが中心となりそうだ。

③録画/管理システムについては、国内ではNVR が主流だが、ここにきてクラウド上に録画映像を保存する仕組みも各社から登場している。レコーダーや専用サーバーを設置する必要がなく、増設やバージョンアップにも簡単に対応できる点がNVRにはないメリットといえる。

企業システムを「所有」するのではなく「利用」する動きが広まる中で、企業の間ではクラウドへの抵抗感が薄れており、ネットワークカメラについてもクラウド型の普及が進むことが予想される。

月刊テレコミュニケーション2016年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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