ブロケードがモバイルネットワーク業界に参入「破壊的な革新をもたらす」

データセンターネットワークをメインにSDN(Software Defined Networking)およびNFV(Network Functions Virtualization)ソリューションを提供するブロケード コミュニケーションズ システムズは2016年1月21日、通信事業者のモバイルネットワーク向けソリューション市場に参入すると発表した。


(左から)ブロケード コミュニケーションズ システムズ(日本法人)代表取締役社長の青葉雅和氏、ブロケード CTO兼コーポレート・デベロプメントおよびエマージング・ビジネス担当シニア・バイスプレジデントのケン・チェン(Ken Cheng)氏、モバイル・ネットワーキング担当CTOのケビン・シャッツケーマー(Kevin Shatzkamer)氏

ブロケードは過去1年余り、モバイルネットワーク向けの技術・製品を持つ企業を買収してきた。そのうち、2015年に買収したConnectem社の仮想EPC(LTEのパケットコアネットワーク)を核として、自社のSDN/NFV製品等と組み合わせてモバイル事業者向けのソリューションとして提供するための準備を続けてきたという。日本法人・代表取締役社長の青葉雅和氏は「これまではデータセンター向けのSAN(ストレージエリアネットワーク)やイーサネット・ファブリックをやってきた。今後はモバイルという新しい市場に取り組んでいく」と話した。国内の通信事業者やMVNO向けに展開していくという。


2014年にモバイルネットワーク事業者向けの可視化・分析ソリューション
を持つVistapoint社を、2015年には仮想EPCのConnectem社を買収した

具体的な製品としては、2月末にスペイン・バルセロナで開催されるMobile World Congress2016に向けて、2月中旬に複数の製品を発表する予定だ。中核となるのは、前述の仮想EPCに当たる「BrocadeVCM」。通常は専用アプライアンスで構築されるLTEのパケットコア網を、ソフトウェアと汎用ハードウェアの組み合わせでモバイル仮想コア網として構築するためのソリューションである。

競合ひしめく状況にも自信

このような仮想EPCは、通信事業者のインフラ向け製品を提供するベンダー各社もすでに提供しているが、そうした“レガシーベンダー”との差別化ポイントについて米ブロケードでCTOを務めるケン・チェン(Ken Cheng)氏は次のように話した。「(買収した)Connectemは仮想EPCのパイオニアであり、VCMは最初から仮想化、クラウド向けに開発されたものだ。既存ベンダーの仮想EPCのように元々は物理アプライアンスだった製品を単にソフトウェア化したものではない」。そのため、通信事業者がNFVに求める要件である、他ベンダーのNFV製品と相互連携するためのオープン性や、需要変動に対する拡張性、運用管理の柔軟性等に優れるという。

さらに「我々はレガシーベンダーのように(モバイルインフラ分野において)既存のハードウェアビジネスを持たない」点もチェン氏は優位点として強調した。NFVを推進することは既存のベンダーにとって、従来のハードウェア販売を基軸とした事業を自ら侵食することにつながり、スピード感のあるビジネスは展開しにくいと同氏は指摘。一方、ソフトウェアソリューションを軸に新規参入するブロケードは、「テクノロジー面だけでなく、ビジネスの面でも破壊的な革新をもたらすことができる」と自信を見せた。

例えば、VCMのライセンス費について、実際に加入者がそのネットワークを利用した量に応じて課金する「クラウドベースのプライシング」も検討しているという。VCMを導入する通信事業者/MVNOは、最初に多大な導入費用をかけることなく、実際のビジネス規模に応じてコストを負担するかたちでLTEサービスを展開できるようになる。

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