クアルコム、低消費電力で目に優しい新方式ディスプレイを公開――スマートフォン、タブレットPCへの搭載目指す

クアルコムが、蝶の羽の発色原理を応用した「Mirasol」技術を活用した新方式のディスプレイを日本初公開した。スマートフォンやiPadのようなタブレット端末への搭載を目指すという。

クアルコムジャパンは、2010年7月28日に開催したクアルコム社設立25周年記念イベントで、今年1月に発表した新方式のカラーディスプレイを日本で初めて公開した。

このディスプレイは、電子的にガラス基盤の間隔を制御し、その間隔の変化に外光の特定の波長を干渉させて発色させる「Mirasol」技術を用いるもの。屋外での視認性が高く、消費電力が非常に小さいことが特徴。

クアルコムの新方式ディスプレイ
蝶の羽の発色原理を応用した「Mirasol」技術によるカラーディスプレイ。まずブックリーダーとしての商品化が見込まれている

モノクロ表示タイプは携帯電話などのディスプレイとして一部で商品化されているが、クアルコムは1月にラスベガスで開かれた家電の展示会CESで5.7インチのカラーディスプレイを出展、年内に製品の出荷を開始する。

Mirasolカラーディスプレイの動画表示能力は毎秒30フレームとTFT液晶をしのぐレベルにあるが、発色がややくすんだものとなる。そこで、まず目に優しく消費電力が極めて小さいという特性を生かして電子ブックリーダーとして2011年頃に商品化される見込みだという。

クアルコムでは、今後発色性を向上させたうえで多様なサイズの製品を商品化し、携帯電話やiPadのようなタブレット端末などへの搭載を目指すという。実用化されれば稼働時間が長く、目に優しいスマートフォンやタブレット端末が登場することになりそうだ。

Mirasolカラーディスプレイは、モバイルを中心に事業の多角化を進めるクアルコムの取り組みの1つで今回のイベントのテーマ「新しいクアルコム」を象徴する製品といえる。

このほか、イベントでは、カメラが捉える現実界を利用する新しいモバイルARや医療、教育、環境などの分野にモバイルを活用するプロジェクトワイヤレスリーチの取り組みなども紹介された。

主力の携帯電話向け半導体分野では6月に出荷を開始したスマートフォン向けチップSnapdragonのデュアルコア版「MSM8260/MSM8660」とともに、300MHz程度の比較的安価なチップでスマートフォンを実現できる「Brew Mobile Platform」などをアピールした。

モバイルマルチメディア放送の日本での事業化をISDB-Tmmと争うMediaFLOでは、試験局を開設してデモを実施。米AT&Tから発売されるシャープ製MediaFLO端末の実機も展示された。

シャープ製MediaFLO端末
米AT&Tから発売されるシャープ製MediaFLO端末

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