アマゾンデータサービスジャパンは2015年10月16日、国内のメディア・アナリスト向けに、米ラスベガスで10月6日から9日に行われた「AWS re:Invent 2015」の事後説明会を開催した。re:Invent 2015では、BIクラウドサービスの「AWS QuickSight」、IoT(Internet of Things)プラットフォームの「AWS IoT」をはじめ、データベースやセキュリティなど多岐にわたるサービスが発表されており、そのうちユーザーの関心が高い特徴的な新サービスについて、ストラテジックソリューション部・部長の大谷晋平氏が国内でのリリース時期なども含めて説明した。ここでは、中でも注目度の高いAWS IoTについて、これを構成するコンポーネントとそれぞれの役割についてレポートする。
ストラテジックソリューション部・部長の大谷晋平氏
AWS IoTは、デバイスとのコネクティビティやネットワークの管理、セキュリティ、データベースとの連携、アプリケーションの開発環境など、IoTを実現するために必要な機能を提供するものだ。AWSの既存サービスなどのクラウドとデバイスを接続し、データ解析やメッセージ送信等を行う機能のほか、デバイス側で動作するアプリケーションを開発するための「Device SDK」も提供する。AWS IoTの利用料は従量課金となり、大谷氏によれば、「デバイスとやり取りするメッセージ数に応じて課金される」仕組みで、「非常に低料金で利用できる」という。
「AWS IoT」の主要コンポーネント
上の図で示す通り、AWS IoTは複数のコンポーネントで構成される。それぞれの役割は次のとおりだ。なお、大谷氏によれば、これらのコンポーネントを制御するための「AWS IoT API」も提供される。
「メッセージブローカー」は、デバイスと通信を行うもので、プロトコルについてはMQTTとHTTP1.1をサポートする。クラウド側のバックエンドがMQTTをサポートしていなくても、デバイス側の対応は不要だ。
「デバイスシャドウ」は、膨大な数のデバイスとクラウドをつなぐIoTの特性を考慮した機能だ。IoTでは、電池切れや通信遮断等により、デバイスがネットワークに接続できない状況が起こり得る。そこで、デバイスのステータス情報を管理し、接続が遮断されている間もアプリケーション側からデバイスのステータスを参照できるようにしたり、アプリケーション側から送られるメッセージをストックしたりする。
「ルールエンジン」を備えているのもAWS IoTの大きな特徴で、デバイスから送られてくるメッセージを変換し、DynamoDBやS3、Lambda、Kinesis StreamといったAWSの各種サービス、外部サービスと連携する。
「Device SDK」は、各種のデバイス向けのクライアントライブラリで、暗号化されたAWS IoTのメッセージブローカーとの通信機能を提供する。デバイスの特定にはX509証明書あるいはAmazon Cognitoを利用。セキュアな通信が行える。
IoT Starter Kitの一覧
また、アマゾンは、デバイスメーカーとの協業によりスターターキットも発表した。上写真のように10社のメーカーから「IoT Starter Kit」が提供されており、「モジュールを組み込むだけでAWS IoTが使える」(大谷氏)。今後、他のメーカーにも協業を広げる計画という。