ワークスタイル改革を支援する代表的なIT企業の第1位に選ばれた日本マイクロソフト(日経BPコンサルティング調査、2015年8月)。同社は、企業のワークスタイル改革をどのように支援しているのだろうか。
「皆さんが普段使っているOfficeで生産性を高め、さらなる成果を上げる――。これが我々のアプローチだ」。日本マイクロソフト 業務執行役員の越川慎司氏はこう説明した。
日本企業の実に97.5%が使っているというOffice。その最新版であるOffice 2016がいかに生産性向上に寄与するかについて、越川氏はデモをふんだんに交えながら講演を行った。
日本マイクロソフト 業務執行役員 アプリケーション&サービス マーケティング本部 本部長 越川慎司氏 |
時価総額トップ20の半数近くが5年で入れ替わるその本題に入る前に、越川氏が触れたのが、企業を取り巻く環境の変化についてだ。
同氏は、米国企業の寿命はこの30年間で75年から15年に短縮しているというデータを紹介したうえで、次のように語る。
「アメリカだけが、これほど変化が激しいかというと、決してそうではない。今日時点の東証上場企業の時価総額トップ20と、5年前のトップ20を比較したところ、9社が入れ替わっていた。財閥の仕組みがある日本は、比較的大手の企業が利益を出しやすいといわれている。そんな日本でもトップ20の45%が5年で入れ替わっている」
そして、このスピード感は今後さらに「加速度的に速まっていくだろう」と越川氏は見通す。急速に進む人口構造の変化、ミレニアム世代(ゆとり世代)の企業内における台頭、高まるセキュリティ脅威、増え続けるデータとデバイスなどが、変化のスピードを加速させていくからだ。「それでは、こうした変化のなかで、企業はどのようにして結果を残せばいいのか」。
その答えを探るために、越川氏はヤフーの宮坂学社長、資生堂の魚谷雅彦社長、日立製作所の岩田眞二郎副社長の3人の経営者に話を聞きにいったという。
ヤフーの宮坂社長、資生堂の魚谷社長、日立製作所の岩田副社長の3氏は「攻めましょう」と口を揃えたという |
「皆さんが口を揃えたのは、『攻めましょう』と。そして、攻めるためには、『変化に応じて、自分たちも変化すること』だと言っている」
実は、マイクロソフト自身も、昨年1月のナデラCEO就任以来、大きな変化を遂げている。
「宣言しますが、我々はWindowsの会社ではなくなっている。今、クラウドの売上が全体の3割近く。だから、デバイスは何でもいい。マイクロソフトはWindowsだけではなく、Mac、iOS、Androidに対して、同じアプリケーションをしっかりと出していく」
実際、講演中のデモでは、iPhoneやAndroidが多く登場。「これだけiPhone、Androidと連呼したマイクロソフトのプレゼンターは、過去いなかったのでは」と越川氏は聴衆の笑いを誘った。
また、クラウドへ本格的に舵を切ったことも、最近のマイクロソフトを象徴する変化の1つだ。越川氏によれば、エンタープライズの顧客の過半数がすでにクラウド版のOffice、すなわちOffice 365を利用しているという。