NTTコムがシンガポールとベトナムにデータセンターを新設

NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2010年7月22日、シンガポールとベトナムにおける新データセンター(DC)の建設と、それに伴うアジアにおけるICTソリューション事業の拡充について発表した。同社はこれまでにも東・東南アジアへの拠点・DCの設立などを行ってきたが、同地への日系企業・多国籍企業の進出増、投資の拡大などを受け、さらなるサービスの拡充、現地でのサポート体制の増強などを図る考えだ。

NTTコム取締役・グローバル事業本部副事業本部長の中田勝己氏

アジア地域に進出する企業がICT環境を構築するに当たっての動向と課題について、NTTコム取締役・グローバル事業本部副事業本部長の中田勝己氏は、「ハブ拠点への集約化」と、「進出する各国内でのICT環境構築」という異なる2つのニーズがあると説明。前者については、「アジアにおいては、従来の一極集中型から、東京・香港・シンガポールのマルチハブ化が進んでおり、ガバナンス、生産性向上やコスト削減の目的からDCへのシステムの集約も進んでいる」とし、また後者については、新マーケットあるいは生産拠点としてアジア諸国への進出がさらに加速しており、そうした新興国におけるICT環境の構築も大きな課題になっているという。

NTTコムのアジアにおける最近の取り組み(クリックして拡大)

「アジアン・トライアングル」構想

こうしたニーズに対応するためNTTコムは今年度後半から順次、新DCの建設や、データセンター間を高速回線で接続する新サービスの提供、現地拠点の増強等を進める。

「ハブ拠点への集約化」の対応に関して中田氏は、同社が進める「アジアン・トライアングル構想」について説明した。“中国へのゲートウェイ”としての香港、東南アジア・南アジアの中心としてのシンガポールのDCを増強。これに日本・米国を加えた4カ所の中核DCを結ぶスーパーハイウェイを構築することで、マルチハブ化のニーズに応えていくという。

アジアン・トライアングル構想(クリックして拡大)

具体的には、まず、これまで他事業者からDCを借りて対応していたシンガポールに、自社のDCを新設する(サービス開始は2011年度4Q予定)。香港ですでに提供している「タイポデータセンター」に続く、アジアで2つ目の中核DCの位置付けだ。

また、米国と日本、香港、シンガポールの中核DC間をあらかじめ大容量バックボーンで接続し、短納期で高速回線を提供する「データセンター間コネクティビティサービス」を2010年9月から開始する。帯域保証型(タイプA)とベストエフォート型(タイプB)の2つのメニューを用意する。なお、シンガポールの新DC構築までは、既設のシンガポールDCと接続してサービスが提供される。

これにより、従来国内の首都圏データセンター間を高速回線で接続し提供している「首都圏マルチデータセンター」を海外に拡大。国内外でシームレスなデータセンター間通信やディザスタリカバリー環境が実現できるという。

ホーチミンにも新データセンター

以上のように、ハブ拠点でのサービス増強を図る一方で、その他の新興国での体制も強化する。

まず、ベトナム・ホーチミンに「ホーチミンシティ データセンター」を新設。2011年度2Qに稼動予定で、既設の「ハノイ タンロン データセンター」に続く、同国内2つ目のDCとなる。

また、タイとカンボジアに新拠点を設立する。2010年8月に、バンコクに続くタイ国内2カ所目のアユタヤ支店を設立。また、カンボジアのプノンペンにも拠点を新設する予定で、日系通信事業者では初のカンボジア拠点となる。

カンボジアでの拠点設立(クリックして拡大) ホーチミンへのDC新設(クリックして拡大) EMERIO社によるバックアップ体制(クリックして拡大)

これらに加え、NTTコムは2010年6月に、東南アジアを中心に14の国・地域に拠点を保有し1200人のITエンジニアを抱えるEMERIO社(シンガポール)を買収している。「ネットワークはもちろん、マイクロソフト製品などのアプリケーションにも精通した優秀なエンジニアが多くいる」と中田氏。顧客企業の現地拠点におけるアウトソーシングニーズへの対応力にも自信を見せた。

関連リンク

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

FEATURE特集

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。