5G向け新技術「UF-OFDM」とは?――M2M/IoTでの伝送効率を大幅に向上

アルカテル・ルーセントが開発中のUF-OFDMは、LTEの基本技術OFDMを拡張し、センサーネットワークなどの伝送効率を向上させるものだ。ドコモとの5G実験で効果が検証されている。

現行のLTE/LTE-Advancedの後継として2020年代初頭に実用化が見込まれている第5世代移動通信システム(5G)では、10Gbps超といった非常に高いスループットやLTEの1000倍のネットワーク容量の実現が見込まれている。低遅延化と、可用性・セキュリティの飛躍的な向上で、自動運転等のミッションクリティカルな用途にも無線通信を活用できるようにすることも5Gへの大きな期待といえる。

さらにもう1つ、5G に求められている重要なテーマが、多種多様かつ膨大な数のデバイスがネットワークを介してインターネットに接続されるIoT(Internet of Things)の世界の実現だ。そのためには各種のセンサーなど、これまで移動通信で扱われていなかった新タイプのデバイス(ノントラディショナルデバイス)を効率的に通信ネットワークでハンドリングすることが大きな課題となる。

UF-OFDM(Universal Filtered OFDM)は、こうしたノントラディショナルデバイスへの対応を想定してアルカテル・ルーセントがベル研究所を中心に開発を進めている新しい無線通信技術だ。

ドコモの5G実験にも

5G用として開発が進められている無線システムは大きく、30GHzを超えるミリ波帯を利用するもの(ここでは「5G(high)」と呼ぶ)と、既存の携帯電話周波数帯域や6G~30GHzといった比較的低い周波数を利用するもの(「5G(low)」)の2つに分けることができる。

「5G(high)」は、数GHz幅といった広い周波数帯を使って超高速・大容量の通信を行うことを想定したもので、現行のLTE/LTE-Advancedとは性格の異なる技術が使われている。基本的に小セル、極小セルで運用される。これに対し「5G(low)」は、主にLTE/LTE-Advancedに用いられているOFDMをベースに開発されている。小セル基地局で用いられるほか、LTE/LTE-Advancedの後継システムとしてマクロ(大)セル基地局で運用される可能性もある。

UF-OFDMは「5G(low)」に導入される候補技術の1つで、昨年からNTTドコモがベンダー6社と実施している5G実験でも検証が進められている。当初は、UFMC(Universal Filtered Multi-Carrier)と呼ばれていたが、他の技術と混同されやすいため、現在の名称に改められた。

図表 アルカテル・ルーセントが想定する5Gの無線システム
アルカテル・ルーセントが想定する5Gの無線システム

月刊テレコミュニケーション2015年3月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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