ワークスタイル変革Day 2014 レポート日本マイクロソフト小国氏「ワークスタイル変革に最も寄与したITツールはLyncとOffice 365」

日本マイクロソフトの小国幸司氏は9月4日に開催された「ワークスタイル変革Day 2014」で、「マイクロソフトの『ワークスタイル変革』への取り組み」と題して講演を行った。従来の働き方に強い危機感を抱いた同社は、どのような目的意識と評価指標でワークスタイル変革に臨み、成功させたのだろうか。

「なぜ今、ワークスタイル変革なのか?」――。グローバル対応や事業継続性確保、ワークライフバランスなど様々な観点から、その必要性が叫ばれているワークスタイル変革。日本マイクロソフトの小国幸司氏はまず、日本企業がワークスタイル変革を迫られている本質的な背景を説明することから講演を始めた。

日本マイクロソフト 小国幸司氏
日本マイクロソフト Officeビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 小国幸司氏

1点目として挙げられたのは、日本が直面している人口減少と高齢化というファンダメンタルな要因である。「人口減少と高齢化が進めば、当然、労働力もどんどん減っていく。予測によれば、2012年と比べて2030年には800万人も労働力が減少すると言われている。800万人というと、大阪府の人口と大体同じ。それだけの労働力が丸ごと減ってしまう」

2点目は、日本の労働生産性の低さだ。OECDのデータによれば、日本の労働生産性はOECD加盟国の中で21位、米国の6割ほどしかない。高品質にこだわる国民性、日本というドメスティックな市場に閉じがちな企業戦略、終身雇用など、日本の労働生産性が低い理由はいくつも考えられるが、いずれにせよ「先進7カ国の中では実に20年近く、ずっと最下位が続いている」というのが現実である。

低い日本の労働生産性
赤い棒グラフが日本の生産性。OECD加盟34カ国の中では21位、先進7カ国では19年連続の最下位というのが現実だ

さらには労働力が減少する今後、女性活用や高齢者活用の推進によって労働力を確保していくうえでは、在宅勤務をはじめ、働く側の価値観変化に応える施策も講じていく必要がある。

小国氏は、これらの変化や課題に対応していくために「働き方を“近代化”し、競争力を上げていこうというのが、ワークスタイル変革の1つの大きな本質だと思っている」と説明した。

マイクロソフトが直面した9つの課題

日本マイクロソフトの場合、約5年前に真剣に悩みながら、ワークスタイル変革に取り組んだという。当時、同社が直面していた課題は、主に次の9つの項目に整理できる。

マイクロソフトが直面していた主な課題
マイクロソフトが当時直面していた主な課題

例えば「オフィス分散」。都内だけでも5拠点に分散し、「隣の部署の人間と話すのにも、わざわざ交通費を払って電車で移動していた」。その移動回数は月間5000回を超えていたという。また、「女性の活用」。退職率を比較すると、女性の退職率は男性の1.8倍にも及んでいた。

日本の多くの企業と同様、「低い生産性」という課題にも直面していた。「マイクロソフトはグローバルのカンパニーなので、日本と同じようにドイツやカナダなど様々な国に子会社がある。そうした他国の子会社と比較してみると、日本の1人当たりの生産性はかなり低くなっていた」

こうした課題を解決するため、日本マイクロソフトではワークスタイル変革に「喧々諤々の議論をしながら、まさに経営から現場の人間まで全員で取り組んだ」という。

そして、この際に同社がキーワードにしたのが「フレキシブルワーク」。いつでもどこでも社員が活躍できるための、柔軟な働き方を実現することだ。

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